2019年8月19日(月)

なぜ英でEU離脱論?(Q&A)

2016/2/20 22:05
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【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)は18~19日の首脳会議で英国が求めていたEU改革案をまとめた。キャメロン英首相は20日、EUの譲歩を引き出したことを強調して国民に「EU残留」を呼びかけた。そもそも英国で広がるEU離脱論の背景には何があるのか。EU改革案は英国民に受け入れられるのか。実情を探った。

Q なぜ英国でEU離脱論が高まっているのか。

A 大きく2つの理由がある。ひとつは2004年にEUに新規加盟したポーランドなど東欧諸国から英国へ流入した移民の急増だ。とくに08年のリーマン危機後に雇用低迷が深刻になると、低賃金で働く移民が雇用を奪っているとの不満が蓄積。域内のヒトの移動の自由を基本理念に掲げるEUへの懐疑論に火を付けた。昨年以降の難民危機もEU批判に拍車を掛けている。

もうひとつは11年以降のユーロ危機への対応に、非ユーロ加盟国の英国が巻き込まれたことへの不満だ。EUは危機の再発防止へ金融監督の一元化など統合強化の動きをみせてきた。ユーロに参加しない英国からはEUの官僚組織の「焼け太り」とのEU批判を強める一因となっている。

Q キャメロン英首相はどう対応しようとしているのか。

A 13年、キャメロン首相は17年までにEU離脱を問う国民投票を実施すると表明した。当時、英国では「EU離脱」を掲げる英国独立党が台頭。15年の総選挙を控えていた与党保守党内からもEUへの「弱腰」外交を許さないとの突き上げが強まっていた。

キャメロン首相は国民投票を公約に掲げることで批判をかわし、15年の総選挙でも勝利した。その公約実現をいま迫られている。首相の本音は「EU残留」だが、世論調査ではEU離脱派が勢いを増す。国民投票は「危険な賭け」との批判も根強い。

Q EU首脳が合意したEU改革案は英国にどんな影響を与えるのか。

A EU域内からの移民の流入を抑えるため、移民への社会福祉の制限を求めた英国に対し、EUは移民流入が「例外的」に急増した場合の緊急措置として認める。母国に居住する移民の子どもへの児童手当を巡っても、英国が求めた給付停止は退けたが、手当の水準を母国の生活水準に合わせる措置を容認。キャメロン首相は一定の譲歩を引き出した格好だ。

ユーロ圏向けの政策を押しつけられることへの不満を巡っては、通貨統合を推進するための新たな政策に反対する場合、EUに追加協議して対応を求める権限を定めた。ただ英国が求めたユーロ圏の政策への「拒否権」までは認めなかった。

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