中国主導のインフラ銀、台湾も参加意欲 中台関係意識か
【台北=山下和成】台湾の張盛和・財政部長(財政相)は19日、中国が主導して設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)について「もし参加要請があれば台湾としても加入したい」と表明した。台湾企業によるアジアのインフラ市場の開拓につながると判断しているもようだ。対中融和政策を進める馬英九政権は中台関係の改善を意識している面もあるもようだ。
張氏は19日に立法院(国会)で答弁した。張氏は「台湾にはまだ参加要請は来ていない」としつつ、「台湾の資金の良い行き場所となる」と説明した。
台湾企業は中国に次ぐ市場としてベトナムやインドネシアなど東南アジアへの進出を急いでいる。台湾当局も従来、「AIIBの発展や参加国の動向に関心を持っている」(行政院大陸委員会)と表明していた。台湾当局はAIIBの資金の出し手になれば、アジアのインフラ整備需要に台湾企業が関わる商機が増えるとみているもようだ。
2008年に誕生した馬英九政権は対中融和を目指し、中国との経済交流を促進してきた。10年には実質的な自由貿易協定(FTA)である「経済協力枠組み協定(ECFA)」を中国と結ぶなど関係を強めている。
台湾は日米が中心に運営してきたアジア開発銀行(ADB)にも加盟している。AIIBと距離を置く米国にも配慮しながら、AIIBへの参加を探るとみられる。