2018年7月17日(火)

米IT企業、競争力低下の恐れ 就労ビザ審査厳格化

2017/4/19 20:53
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 【シリコンバレー=兼松雄一郎】トランプ米大統領が18日、専門技能を持つ外国人向けの査証(ビザ)「H1B」の審査を厳格化する方針を改めて打ち出した。米国内の人材不足を同ビザで補ってきたIT(情報技術)業界には大きな影響が出そうだ。米経済が完全雇用に近い状況下で、さらに雇用を逼迫させる政策が導入されることで企業の人件費負担はさらに重くなり、競争力低下につながる可能性がある。

18日、訪問先のウィスコンシン州の企業で大統領令に署名したトランプ米大統領=AP

18日、訪問先のウィスコンシン州の企業で大統領令に署名したトランプ米大統領=AP

 H1Bビザはインドを中心とする移民技術者が多く利用している。発給枠は年間8万5千件。米ビザ情報サイト、マイ・ビザ・ジョブズ・ドットコムによれば2016年分の企業の申請数は約65万件。倍率は約8倍。教育機会が偏り技術者の層が薄い米国では、ソフトウエア産業は慢性的に人手が足りず海外人材で補ってきた。

 申請件数はIT技術者を多数抱える企業が大半を占め、上位には印IT受託大手が並ぶ。他にはキャップジェミニ、アクセンチュア、デロイトといった欧米コンサル大手や、IBM、マイクロソフト、グーグル、アマゾン・ドット・コムなど米IT大手も上位25社に名を連ね、米金融大手が続く。日本企業ではNTTデータ富士通が多い。

H1Bビザの申請数が多い上位企業(2016年)

企 業申請件数
印インフォシス25,405
仏キャップジェミニ17,479
印タタ・コンサルタンシー・サービシズ13,134
米IBM12,381
印ウィプロ10,607
米アクセンチュア9,479
印テック・マヒンドラ8,615
米デロイト・コンサルティング7,645
米コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ5,370
10米マイクロソフト5,029

(出所)マイ・ビザ・ジョブズ・ドットコム

 今後の審査厳格化の詳細は固まっていないが、対象者を高度技能者に限る見通し。給与水準が高い方が取得に有利になるとみられている。米国内の雇用を増やす象徴として、インド企業を狙い撃ちする可能性が高い。

 米企業の多くはIT関連業務のかなりの部分をインフォシス、タタ・コンサルタンシー・サービシズといったインド企業に依存している。インドから技術者が専門職ビザを使い、入れ替わりながら次々に米国に送り込まれる業界慣行がある。結果として米国人の雇用を減らしている面があるのは否定できない。

 H1Bビザ申請者の平均給与は米IT大手の場合、12万ドル(約1300万円)を超える会社が多い。金融、コンサルはそれに次ぐ水準だ。一方、インド企業は7万ドル台が標準で、給与を基準にすれば狙い撃ちが可能だ。現地の日本企業も含め、不足する人材獲得のために給与水準のさらなる引き上げが必要になる可能性が高い。

 H1Bビザをめぐっては、米移民局がトランプ政権発足後、H1Bの申請を優先審査する「特急審査」制度を停止。初級レベルのプログラマー職は発給の対象外と周知した。利用率が高い企業などへの現地査察を強化している。

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