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北アフリカでテロ拡散 チュニジアの民主化揺さぶる

日本人を含む外国人観光客ら少なくとも19人が犠牲になったチュニジアの事件により、過激派のテロが北アフリカで拡散していることが鮮明になった。犯行グループの正体は明らかになっていないが、事件は民主化の道を歩み始めたばかりの同国を揺さぶっている。

「(国家は)テロとの戦いのただ中にある」「民主主義は勝利する」。チュニジアのカイドセブシ大統領は18日、国営放送を通じて国民に結束を呼び掛けた。

仏AFP通信によると、カラシニコフ自動小銃で武装した集団が当時約100人の観光客がいたチュニス中心部のバルドー博物館を襲撃した。軍服姿だったとの情報もある。2人組は治安部隊によって射殺されたが、ほかにも実行犯がおり、逃走中という。

事件現場は古代遺跡の出土物などを展示する北アフリカ有数の博物館で多くの観光客が訪れる。隣接する国会では反テロ法案の審議中だった。同博物館を襲うことで、外貨収入源である観光業に打撃を与える狙いもあったとみられる。

チュニジアでは2011年、強権を振るったベンアリ政権が民主化運動により崩壊し、中東各地に波及した「アラブの春」の起点となった。エジプトなどで民主化が頓挫するなかでもチュニジアは穏健イスラム勢力と世俗派勢力が協力することで新憲法を制定。14年末には、民主化の総仕上げとして、初の自由・直接選挙による大統領を選出していた。

一方で、前政権崩壊の過程でイスラム過激派の伸長を許し、治安は悪化していた。若者の失業や地域間格差といった構造問題は改善せず、「過激派組織『イスラム国』に参加する戦闘員の一大供給国」(中東調査会の高岡豊上席研究員)にもなっていた。

チュニジアではベンアリ政権崩壊後、野党指導者や警察官が殺害された事件はあったが、今回のように外国人を狙ったとみられる襲撃事件は少ない。02年にユダヤ教礼拝施設を狙った自爆テロで外国人観光客ら20人超が死亡した事件以来とみられる。

隣国リビアはカダフィ政権崩壊後の地域間対立から内戦状態にある。アルジェリアやマリで活動するアルカイダ系組織がチュニジアに侵入しているとの情報もある。

北アフリカでは、アルジェリアでも13年に日本人10人が犠牲になる天然ガスプラントを舞台とした人質事件が起きている。

(国際アジア部 佐野彰洋)

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