2018年1月23日(火)

ロヒンギャ難民の帰還受け入れ スー・チー氏演説

2017/9/19 14:10
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 【ネピドー=新田裕一、小谷洋司】ミャンマーの実質的トップ、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相は19日、首都ネピドーで演説し、西部ラカイン州のイスラム系少数民族ロヒンギャの難民について「帰還を希望する人の身元確認手続きをいつでも始める用意がある」と述べ、国内への帰還を受け入れる考えを示した。

演説するミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相(19日午前、ミャンマー・ネピドー)=沢井慎也撮影

 8月の治安部隊に対するロヒンギャの武装集団による襲撃事件後、隣国バングラデシュに逃れた難民は40万人以上にのぼる。ロヒンギャ迫害に対する国際社会からの批判が高まる一方、ロヒンギャに対するミャンマー国民の反感は根強く、帰還を受け入れるか否かが難民問題解決の焦点の1つとなっていた。

 衝突の発端は8月25日に起きた武装集団による治安施設に対する同時襲撃事件。ロヒンギャの権利回復を求める組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」が関与を認めている。治安部隊が掃討作戦を開始すると、多くのロヒンギャ住民がバングラデシュに逃れ、難民となった。

 治安部隊の掃討作戦についてスー・チー氏は「9月5日以降は行っていない」と述べた。ロヒンギャの村が焼き打ちにあっている問題については誰の犯行か分からないとして「全ての人から話を聞き、証拠に基づいて対処する」と約束した。

 演説は約30分。会場には国内外の報道陣や外交官ら約500人が集まったほか、国営放送やフェイスブックの公式ページを通じて生中継された。英語で行われ、ロヒンギャ問題を巡りミャンマー政府への批判を強める国際社会を強く意識したものとなった。

 ロヒンギャの国籍を認めない国籍法の見直しや人々の移動の自由を求めたアナン元国連事務総長率いる特別諮問委員会の勧告については、短期的に実行できるものを優先するとしつつ「全ての勧告が信頼回復に資する」と述べ、実行に取り組む姿勢を強調した。

 勧告は今回の衝突の発端となった8月25日の治安部隊に対する襲撃事件の直前に発表された。ただミャンマー国民の多くは「不法移民」であるロヒンギャに対する否定的な感情が強く、どこまで実行できるかが今後の焦点となる。

 19日にはニューヨークで開かれている国連総会で各国首脳の一般討論演説が始まる。昨年は首脳級として迎えられ、民主化について華々しく演説したスー・チー氏は今回欠席。わずか1年でミャンマーを取り巻く状況は一変した。

 安全保障理事会でロヒンギャ問題を取り上げた英国のメイ首相や、イスラム協力機構の議長国トルコのエルドアン大統領は、ミャンマー政府の対応を強く批判するとみられる。

 ただミャンマーの現在の憲法は、治安部隊への指揮権を国軍最高司令官に認めている。スー・チー氏ら政府が取り得る選択肢は少ないのも事実だ。警察を統括する内務相や国境管理にあたる国境相はいずれも国軍が指名権を持っている。

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