香港「普通選挙」白紙に 17年長官選、議会が政府案否決

2015/6/18付
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【香港=粟井康夫】2017年の次期香港行政長官選挙を巡り、香港の立法会(議会)は18日、香港政府が提出した民主派の立候補を制限する選挙制度改革法案を反対多数で否決した。約500万人の有権者が一票を投じる「普通選挙」は白紙に戻り、少なくとも5年以上先送りされる見通しになった。昨年の民主派デモ隊による中心部占拠であらわになった香港社会の分断は長期化が避けられない。

「きょうは民主化運動の終わりではない。新たなスタートの日だ」。民主派議員のとりまとめ役である公民党の梁家傑党首は採決後の記者会見で力を込めた。

香港政府は17日、中国の全国人民代表大会(全人代)の決定に沿った法案を立法会に提出した。親中国派しか事実上立候補できない仕組みで「『偽の普通選挙』は認められない」とする民主派議員27人は否決の方針で全員一致。親中国派からも1人が反対に回った。親中国派議員の大半は採決の途中で離席し、賛成はわずか8票にとどまった。

民主派議員は「中国政府には香港基本法に従って普通選挙を実施する義務がある」と主張する。選挙制度改革プロセスを仕切り直し、民主派が受け入れられる改革案の提示を求めていく方針だ。

一方、香港政府トップの梁振英行政長官は記者会見で「これから2年間は経済や民生問題に集中する」と明言し、残りの任期中は選挙制度改革をやり直さない考えを示唆した。次期長官選が終わる17年までは棚上げする公算が大きく、普通選挙の導入は早くても22年の長官選になる見通しだ。

改革案が否決されたことで、17年の長官選は1200人の選挙委員だけが投票権を持つ現行制度で実施される。選挙委の構成には民意はほとんど反映されず、中国とビジネス面で関係の深い業界団体の代表ら親中国派が8割以上を占める。民主派にとっては立候補はできるが、当選できない仕組みが続く。

次の焦点は16年の立法会選挙に移る。民主派が重要法案の否決に必要な3分の1以上の議席を確保できずに拒否権を失えば、香港政府は今回と同じ内容の選挙制度改革法案を出し直す可能性もある。親中国派は「一人一票が実現できなかった責任は民主派にある」との主張を強めており、両派の対立は激しさを増す見通しだ。

法案の審議中も立法会周辺では民主派と親中国派がそれぞれ集会を開き、互いにののしり合うなど騒然とした状況が続いた。民主派の集会に参加していた40歳代の男性は「勝利の感覚はない。民主化への道のりは遠く、気が重い」と語った。

▼香港の選挙制度改革 憲法にあたる香港基本法は政府トップの行政長官を「指名委員会が民主的手続きで指名し、普通選挙で選ぶのが最終目標」と定める。基本法の解釈権を握る中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は2007年、17年の長官選から普通選挙を容認すると決定し、香港政府が具体案を策定してきた。
 香港の民主派は幅広い候補が出馬できる仕組みを提案していたが、全人代常務委は14年8月、親中国派が大多数を占める指名委で過半数の支持を立候補の条件とする方針を決めた。抗議する学生や市民らが79日間にわたり香港中心部の道路を占拠する事態に発展した。
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