文大統領、外相任命を強行 野党は一斉に反発

2017/6/18 23:01
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 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18日、外相候補に指名していた康京和(カン・ギョンファ)前国連事務総長特別補佐官を任命した。康氏は娘の進学のために住んでいない住所を居住地として届け出た「偽装転入」が発覚し、野党が就任に反対していた。文氏は重要な外交日程を目前に控えて任命を強行。野党は一斉に反発している。

18日、康京和氏を外相に任命する文在寅大統領=韓国大統領府提供
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18日、康京和氏を外相に任命する文在寅大統領=韓国大統領府提供

 文氏は18日、「外相を空席にしておけない状況だ。野党も理解してくれると信じている」と人事断行の理由を説明した。文政権は6月末の米韓首脳会談、7月にドイツで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議と重要な外交日程が目白押しで、北朝鮮問題への対応も課題になっている。

 康氏は偽装転入を巡る釈明が二転三転し、国会の人事聴聞会で野党から集中砲火を浴びた。国会は人事への同意に相当する人事聴聞会の報告書を採択しなかった。文氏は再度、採択を求めたが国会が応じず、同意がないまま任命に踏み切った。

■慰安婦合意で康氏「誠意ある措置を」

 康氏は韓国で初の女性外相。国会での人事聴聞会で従軍慰安婦問題に関する2015年の日韓合意について「(日本の)法的責任と賠償などが不明確で不十分」と指摘する一方、「合意を守ることが国際社会の慣行だ」とも語った。合意の再交渉には言及しなかったが、「日本と対話しながら究極的には誠意ある措置がなければならない」とも述べ、日本に追加措置を求める可能性もある。

 文氏は金商祚(キム・サンジョ)公正取引委員長も国会同意なしで任命した。閣僚の任命に国会同意は不要だが、文氏は与野党対立を避けて共に協力する「協治」を掲げてきただけに、野党は反発を強めている。

 保守系の最大野党、自由韓国党は18日、「任命されてはならない人事を強行した。国民を無視している」との論評を発表した。李洛淵(イ・ナギョン)首相の任命人事案の採決には賛成した中道系の国民の党も「大統領の人事独走と与党の無策が新政権の成功を妨げる障害物にならないよう忠告する」と指摘した。

 自由韓国党が18日開いた会議では、補正予算案の審議や他の閣僚候補の人事聴聞会などの協力は難しいとの意見が出た。文氏が属する「共に民主党」は国会での議席数が過半に満たない少数与党で、人事の強行は今後の国会運営に影響する可能性がある。

■文氏、閣僚人事にてこずる

 文氏が大統領に就いてから1カ月強が経過したが、閣僚人事は遅れが目立っている。文氏は朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾に伴って当選したため、通常なら約2カ月ある引き継ぎ期間なしに就任した。人事で適格性を十分に調べる時間がないまま指名し、野党に攻撃される展開が続いている。

 旧弊の清算を掲げる文氏は、兵役回避と不動産投機、脱税、偽装転入、論文盗用の「5大不正」の該当者は要職に就けない方針を掲げた。だが、ほとんどの閣僚候補者がいずれかに引っかかり、有名無実化している。

 16日には法相候補だった安京煥(アン・ギョンファン)ソウル大名誉教授が指名を辞退した。安氏は1975年、当時交際していた女性が結婚に応じず、偽造印鑑を使って婚姻届を役所に出していた過去が発覚した。

 野党は雇用労働相など残る閣僚人事でも人事聴聞会で厳しく追及する構え。文氏は閣僚の人選に慎重にならざるを得ず、人事はさらに遅れる可能性がある。

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