米、炭疽菌を日本など5カ国に誤送付 米紙報道
【ワシントン=川合智之】米紙USAトゥデー(電子版)は17日、米国防総省が生物兵器に使われる炭疽(たんそ)菌を生きた状態のまま海外に誤送付していた問題で、過去10年にわたり殺菌方法を誤っていたと報じた。この間、出荷元の米西部ユタ州の陸軍研究施設は米国内の施設と日本を含む海外5カ国に最低でも74回菌を誤送付した。
米疾病対策センター(CDC)の報告書によると、生物兵器の検出などの研究目的で菌を送る際、通常はガンマ線で殺菌するが、照射量などが誤っていた。省内の実験で菌が死んでいないとする報告もあがっていたが、殺菌方法は改善されなかったという。健康被害の報告はないが、同省は菌を扱った31人に抗生物質を投与した。
照射方法を誤った2005年1月以降に送られた菌は生きていた可能性がある。神奈川県の在日米陸軍キャンプ座間には05年に炭疽菌を送り、09年に破棄されたという。同省は日本のほか米国、韓国、オーストラリア、英国、カナダの施設に菌を送っていた。