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スコットランド独立否決へ 住民投票、反対派が優勢

【エディンバラ=小滝麻理子】英国北部のスコットランドの独立を問う住民投票が18日夜(日本時間19日朝)締め切られ、各地で開票作業が進んだ。BBCなど英主要メディアは19日未明(同日午後)、反対票が過半数となる見通しで、独立否決が確実になったと報じた。スコットランドの独立は回避され連合王国の一部として残留する見通しとなった。

登録有権者は約430万人。英BBCによると32地区のうち最大都市グラスゴーなど25地区で開票を終えた時点で独立反対は135万2635票(54.33%)、賛成は113万7190票(45.67%)となっている。

投票率は多くの地区で80%を超えるなど異例の高さを示し、関心の大きさを裏づけた。

世論調査では当初、反対派が賛成派を大きく上回っていたが、8月中旬から賛成派の支持が急伸し、大接戦となった。賛成派の市民ボランティアによる戸別訪問や集会など徹底した草の根の活動を展開した。

しかし実際の投票では、独立に伴う経済への影響などの懸念から「反対」に票を投じる市民が多かったようだ。スコットランドに拠点を置く銀行大手が、独立した場合は本店登録をスコットランド外に移すと表明するなど、雇用への悪影響が懸念されたとみられる。18日に調査機関ユーガブが投票後の有権者約2600人に実施した調査でも、独立反対派が54%と優勢で、賛成派の46%を上回っていた。

反対派は戸別訪問や大規模集会な集会を実施。終盤戦ではキャメロン英首相ら与野党党首、ブラウン前首相も相次ぎ現地入りし、「英国に残れば、権限移譲をより進める」と引き留めを訴えた。

独立運動を率いるスコットランド行政府のサモンド首相は、独立後は英ポンドを使用し、欧州連合(EU)に加盟すると主張した。これに対して、英政府は独立すれば、英ポンドの使用は認めないとした。

仮に独立賛成派が過半数を取得すれば、英ポンドが急落するなど金融市場や経済が混乱する恐れがあった。英国の国際的な地位低下は避けられないとの指摘もあった。

米国のオバマ大統領は17日「英国は米国にとっての重要なパートナーで強く安定し団結した国であってほしい」と述べた。フランスのオランド大統領も18日、スペインのカタルーニャ州、ベルギーのフランドル地方などで独立運動が活発になっていることを念頭に「(スコットランドの)結果は英国だけでなく、欧州の将来も左右する」と述べた。

投票を終えた現地の有権者は興奮が収まらない様子だ。中心都市エディンバラでは多くのパブが投票を見守るために19日朝まで開店。賛成票を投じた教師のケニー・ホッジさん(31)は「接戦になると思うが、より公平な国をつくるチャンスだ」と話した。資産運用会社に勤めるアーロン・シンプソンさん(29)は「不確実な点が多すぎる」と反対票を投じた。真っ先に開票結果が出たエディンバラ近郊のクラックマナンシャーで反対票が多かったと伝わると反対派の市民が歓声を上げた。

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