インドネシア、違法漁業の監視施設 中国けん制
【ラナイ(インドネシア・ナトゥナ諸島)=共同】インドネシア政府は17日、中国漁船による違法操業が頻発している南シナ海南端のインドネシア領ナトゥナ諸島ラナイで、17日の独立記念日に合わせ、違法漁業の監視施設の開設式と違法操業者を拘束する施設の起工式を行った。
違法操業の取り締まりに強い姿勢を示すことで、国威を発揚するとともに中国をけん制する狙いだ。スシ海洋・水産相が「ナトゥナ諸島を外国漁船が水産資源を盗むための海域にしてはならない」と述べ、警備体制強化を訴えた。
インドネシア政府は17日、違法操業で拿捕(だほ)していた外国漁船58隻をナトゥナ諸島などで海に沈めた。船籍は明らかにしていない。
監視施設はラナイの軍事施設内に設置され、レーダーを装備し、ナトゥナ諸島周辺の漁船を監視する。ナトゥナ諸島にはインドネシア海軍の駆逐艦など約10隻が配置されており、監視施設と連携して不審な漁船の追尾などを行う。
中国が独自に引いた境界線「九段線」は、ナトゥナ諸島沖のインドネシアの排他的経済水域(EEZ)と一部が重なっている。同諸島沖では3~6月、インドネシア当局による違法操業の中国漁船の拿捕などが相次いだ。
地元紙によると、当局が今年に入って拿捕した違法操業漁船は約60隻に上り、それぞれに少なくとも乗組員8人が乗船。既存の拘束施設は手狭となっており、今回新たに建設する。また、インドネシア政府はこれまでに170隻以上の違法漁船を爆破処理した。
インドネシア軍はナトゥナ諸島に駐留する兵士を約2千人に倍増させ、将来的には潜水艦基地を建設するなど防衛体制も強化する方針。漁業振興のため、同諸島に魚の貯蔵施設なども建設する予定だ。