トランプ発言、米軍幹部も異例の批判 白人至上主義巡り - 日本経済新聞
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トランプ発言、米軍幹部も異例の批判 白人至上主義巡り

【ワシントン=永沢毅】米南部バージニア州での白人至上主義団体と反対派の衝突事件を巡り、トランプ米大統領は「双方に非がある」との発言を撤回せず、混乱は続いた。与党・共和党の指導部や経済界だけでなく、陸海空と海兵隊の4軍トップも人種差別への批判の声を上げた。米軍最高司令官の大統領の考えに賛同しないことを示唆した異例の動きといえる。いまやトランプ氏の家族と並んで軍出身者は、政権の屋台骨。トランプ氏は四面楚歌(そか)に陥りつつある。

「陸軍は人種差別や過激主義、憎しみを許さない」。陸軍のミリー参謀総長は16日、こうツイッターに投稿した。「(独立戦争が始まった)1775年から我々が支持する価値観に反する」とも指摘した。空軍のゴールドフェイン参謀総長は16日「我々は共にあることでより強くなる。参謀総長らの発言を支持する」として、ミリー氏らの発言に賛同してみせた。

海兵隊のネラー司令官も15日までに「海兵隊には人種的な憎しみや過激主義の入り込む余地はない。我々の重要な価値観は栄誉、勇気、責任遂行だ」とツイッターに投稿。海軍のリチャードソン作戦部長は、12日に起きたバージニア州シャーロッツビルでの衝突直後に「海軍は永遠に不寛容と憎しみに立ち向かう」との声明を出した。

米軍制服組トップが反人種差別へ強い態度を示したのは、現役将兵の士気や新兵採用に影響が出ないよう配慮する必要があったとされる。それでも軍トップが大統領にクギを刺すかの発言をするのは異例だ。ホワイトハウスのケリー首席補佐官は海兵隊退役大将、国家安全保障担当補佐官のマクマスター氏は陸軍中将から就いた。いまのトランプ政権は軍出身者と家族にけん引されている。

ホワイトハウスにも動揺や批判が広がる。

「政権に最悪の混乱をもたらすかもしれない。彼は頑固で事態がどれほど深刻か理解していない」。政治専門サイト「ポリティコ」によると、政権顧問の一人はこう指摘した。「トランプ氏は間違えを認めるより差別主義者と呼ばれる方をとる」とも語った。米メディアによると、側近で国家経済会議委員長のコーン氏も周囲に憤った。

7月末に就任した、ケリー首席補佐官は、ホワイトハウスを規律によって立て直すことを託された。トランプ氏の面会相手を全て把握し、面会に際して公式な書面を提出するように改めた。

だが、トランプ氏は携帯電話で様々な人たちと自由に話し、ツイッターの投稿も思うまま。問題の発言をした15日の記者会見では、うつむき加減で腕を組むケリー氏の姿があった。奔放な言動には規律最優先のケリー氏の統制も及ばず、困惑しているという。

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