2019年1月19日(土)

フィジーで総選挙、民政復帰へ クーデターから8年ぶり

2014/9/17付
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【スバ=高橋香織】軍事独裁政権下の南太平洋のフィジーで17日、民政移管に向けた総選挙(一院制、50議席)が実施され、即日開票された。選挙は2006年の軍事クーデター以来8年ぶり。選挙管理委員会の開票速報によると、現職のバイニマラマ首相(60)が率いるフィジーファースト党が得票率で優勢を保っている。正式結果は18日中にも判明する見通し。

比例代表制で、7政党が約250人の候補を擁立した。開票作業は17日午後6時(日本時間同3時)の投票締め切り後、各地で始まった。18日午前3時30分(日本時間同0時30分)現在、2025カ所の投票所の40%にあたる804カ所の集計結果を公表した。

それによると、フィジーファーストの得票率は59.2%で、2位につける先住民フィジー系の社会民主自由党(ソデルパ)の28.1%を大きく引き離している。次いで主にインド系が支持する国民連合党が5.4%、労働組合系の人民民主党が3.4%となっている。

総選挙の結果を受け10月には、機能を停止していた議会が招集される見通しで、フィジーは民主化へ前進する。今回の選挙には日本やオーストラリアなど14カ国・地域が監視要員を派遣した。

フィジーの軍事政権は投票日を休日とし、国民に投票を呼びかけた。各地の小学校などに設けられた投票所には早朝から有権者が長い行列を作った。並んでいた銀行員の女性シェリンさん(23)は「クーデターはもういらない」と訴えた。

フィジーでは人口の6割を占める先住民のフィジー系と、英植民地時代に移住したインド系の民族対立などを背景にクーデターが頻発。06年にはフィジー系のバイニマラマ国軍司令官(当時)が、議会占拠事件関係者の恩赦などを巡って対立した同じフィジー系の首相を無血クーデターで倒し、首相に就任した。

今回の選挙は「バイニマラマ氏の改革路線に対する国民の信任投票」(南太平洋大学のサンドラ・タルト准教授)の側面が強い。多民族主義を掲げる同氏は先住民フィジー系住民の優越的な地位を見直し、能力主義の人材登用を推進した。義務教育の無償化や道路インフラ改善などに力を入れ、経済界で有力なインド系などの支持を得た。

所得税や法人税の引き下げにも踏み切り、外資誘致を積極化。観光業と砂糖産業に頼る南国経済からの脱皮を目指してきた。フィジーは南太平洋地域の交通の要衝で、人口が約88万人と13カ国中で2番目に多い。地域の金融サービス拠点として成長しつつある。フィジー統計局によると13年の実質成長率は4.6%に達した。

経済成長を支えたのは中国の投資だ。軍事政権の発足を機に、伝統的に経済協力を提供してきた豪州やニュージーランドとの関係が冷え込んだ一方、中国は南太平洋への影響拡大を狙い、小切手外交を展開した。首都スバ市内ではアパートやホテルなど中国系の投資案件が目に付く。14年の中国からの対フィジー借款の総額は05年当時の180倍に上るとみられる。

バイニマラマ氏はフィジーからみて北に位置する中国を利用し、港や道路、住宅などのインフラ整備を進める「ルック・ノース」政策を進めてきた。南を向く中国と「互いの利害が合致した」(タルト准教授)形で、首相に再任されれば親中政権が続く見通しだ。

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