/

FRB、日中欧経済の先行き不安視 一部に利上げ積極論

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は年4回としてきた利上げペースを年2回に減速する考えだ。イエレン議長は中国や日本、欧州などの経済減速を念頭に「世界経済の先行き不安が金融市場の動揺を招いている」と慎重姿勢を強調した。ただ米景気は堅調で、利上げに積極的な「タカ派」メンバーは年4回の利上げを主張するなど、委員会内には温度差もある。

金融市場は今回の追加利上げを見込んでおらず、焦点は先行きの利上げペースの修正にある。米連邦公開市場委員会(FOMC)後に公表した2016年の政策金利見通しは、メンバー17人のうち9人が0.50%の引き上げを見込んで最多だった。利上げ幅は0.25%が通例のため、9人は年2回の追加利上げを想定していることになる。

昨年12月時点でFOMCは年4回の利上げを示唆していたが、金融市場は当時から「年2、3回にとどまる」との見方が大勢だった。今回の利上げペースの下方修正は、強気だったFRBの姿勢が市場に近づいてきたともいえる。

ただ、FOMCメンバーには温度差がある。17人のうち3人は16年中に3回、4人は4回の利上げを見込んでおり、「年2回」で意見集約ができているわけではない。今回の会合ではカンザスシティー連銀のジョージ総裁が利上げを主張し、全会一致で政策決定できなかった。イエレン議長も「利上げペースはあらかじめ決めるものではなく、雇用や物価のデータ次第だ」と注釈を付ける。

FRB内に強硬利上げ論が残るのは、米景気が底堅く回復しているためだ。FOMCは16年10~12月期の実質成長率を2.2%と予測し、ほぼ巡航速度を維持するとみる。同期の失業率は完全雇用に近い4.7%、物価上昇率も1.6%と、昨年12月時点の予測をそのまま据え置いた。イエレン議長も「昨年12月から雇用や物価の見方に大きな変化は生じていない」と認める。

にもかかわらず利上げペースを大きく下方修正したのは、金融引き締めに慎重な「ハト派」が海外経済の減速リスクを不安視しているためだ。その一人とされるイエレン議長は記者会見で、日本や中国、欧州の景気減速を指摘した上で「カナダやメキシコなど近隣国も原油安が成長の下押し圧力となっている」と強調した。

日銀がマイナス金利政策に踏み切るなど、主要中央銀行は緩和姿勢を強めている。FRBが米経済の回復を評価して拙速な利上げに踏み切れば、再びドル高を招いて世界的な株安や原油安につながるリスクもあった。

FOMCはやや「ハト派」色を強めたものの、「米景気は堅調だ」(イエレン議長)との見方では一致する。足元では年明け以降の株安・原油安が落ち着き始めており、海外経済や金融市場の下振れリスクが薄れれば、再び利上げペースを加速する可能性もある。

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン