米 集団防衛に「責任」 NATO理事会、対ロ軍事協力否定

2017/2/17 0:22
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【ブリュッセル=森本学】北大西洋条約機構(NATO)が15、16日にブリュッセルの本部で開いた国防相理事会では、トランプ政権の誕生に伴う米欧同盟の亀裂はなんとか回避した。マティス米国防長官は加盟国への「責任」を果たすと約束。一方で応分の負担に応じない加盟国への関与低下もちらつかせた。5月下旬にブリュッセルで開く首脳会議で、米国頼みに不満を漏らすトランプ米大統領も納得する合意にこぎつけられるか。薄氷の結束はまだ続く。

「NATOの集団防衛は盤石だ」。マティス氏は16日、理事会終了後の記者会見で力を込めた。仮に加盟国のどこかが攻撃されれば、全加盟国が反撃する「集団防衛」はNATOの根幹。トランプ政権発足後、ロシアの脅威にさらされるバルト3国やポーランドを中心にくすぶっていた「米国は集団防衛を本当に守るのか」との懸念解消をアピールした。

トランプ政権の親ロシア的な姿勢に対する欧州側の不安を巡っても、マティス氏は「ロシアは国際法を守らなければならない」と強調。従来通り、ウクライナ東部の停戦を定めた「ミンスク合意」の完全履行を求めた。NATOが「脅威」と定めるロシアと米国の軍事レベルの協力も「現時点ではその状況にない」と否定してみせた。

ただマティス氏の欧州同盟国への約束は条件付きだ。「米国がNATOへの関与を弱めるのを見たくなければ」。"脅迫"とも受け取られかねない強い表現で、各加盟国に国防費拡大へ責任を果たすよう求めた。

NATO加盟国は2014年、国防費を24年までに国内総生産(GDP)比で2%以上に引き上げることで合意。しかし現状では米英など目標達成は5カ国にとどまる。米国頼みの構図に不満を持つトランプ氏は大統領選中に、NATO加盟国が攻撃されてもその国が国防費負担などで「義務を果たしているか」で対応を判断すると主張。集団防衛の信頼が揺るぎかねないとの懸念が欧州で広がっていた。

マティス氏は理事会で、2%目標の達成に向けた加盟国ごとの計画策定や、17年末までの国防費の増額などを加盟国に求めた。ただ欧州側はトランプ政権に新たな負担拡大を迫られたと映ることは避けたいのが実情だ。

「米国が欧州に国防費支出を増やせと言っているわけではない」。NATOのストルテンベルグ事務総長は15日の記者会見で、2%目標の達成はすでに14年に欧州加盟国の首脳らが自ら合意していたものだと訴えた。

ストルテンベルグ氏は2%目標の約束達成をより確実にするための手法を探ることで、「応分の負担」を求める米国と、追加負担を避けたい欧州の橋渡しをにらむ。トランプ氏が初参加する5月のNATO首脳会議に向けて2%達成への「中間目標」の設定などを検討する考えをみせた。

ただ財政立て直しに取り組むイタリアやスペインは国防費のGDP比は1%にとどまる。早期の目標達成は厳しいのが実情だ。「加盟国は米国からの明確で公正なメッセージを歓迎した」。ストルテンベルグ事務総長は強調したが、NATO結束にはなお不安定さがのぞく。

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