パリ協定達成へ「8200兆円必要」 IEA見通し

2016/11/16 23:14
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 【マラケシュ=竹内康雄】国際エネルギー機関(IEA)は16日、2016年の国際エネルギー見通しを公表した。20年以降の地球温暖化対策「パリ協定」の目標達成は、各国の現状の温暖化ガス削減策では困難と分析。40年までに再生可能エネルギー普及のための技術開発などに75兆ドル(約8200兆円)の投資が必要と訴えた。石炭や石油の需要は増え続けるが、全体に占めるシェアは低下すると予測した。

 今回の報告書は4日に発効したパリ協定に焦点を当てた。各国が自主設定した温暖化ガスの排出削減目標は「全体的に達成の方向に進んでいる」と評価する一方、協定の「地球の気温上昇を産業革命前から2度未満に抑える」という目標達成には「ほど遠い」と分析した。現状の取り組みでは2100年までに2.7度上昇するという。

 IEAは将来のエネルギー像を複数のケースに分けて予測した。最もありそうな「メーンシナリオ」では、40年までのエネルギー投資は44兆ドルになる。過去15年は資源開発など供給事業への投資の70%が化石燃料向けだったが、今後は60%に低下する。加えてエネルギー効率改善には23兆ドルが投じられると予想した。

 「2度目標」達成のシナリオではエネルギー投資は40兆ドルになる一方、エネルギー効率には35兆ドルが必要になると予測。メーンシナリオより全体で8兆ドル多くなる。電気自動車(EV)や発光ダイオード(LED)の照明の普及などに一段と力を入れる必要がある。

 メーンシナリオの40年のエネルギー総需要は14年比30%増える。石炭、石油などの化石燃料の消費は増え続けるが、エネルギー最終消費に占める石炭と石油のシェアはそれぞれ29%から23%、31%から27%に低下する。一方で二酸化炭素(CO2)排出の少ない天然ガスは21%から24%に上昇。原子力は中国がけん引し5%から7%に増える。

 原油価格低迷に絡み、IEAは新規開発の投資が鈍っていると懸念を表明した。「17年も投資が少ないままだと将来の需要を満たすのに大きな努力が必要」として急な価格上昇を招きかねないと警告。需要は欧米で減り、中印も省エネなどで従来予想ほど増えないものの、航空機や石油化学が引っ張ると予想した。

 原油価格はメーンシナリオでは20年には1バレル80ドル前後、40年には120ドル超になる。2度目標シナリオが実現すれば石油への依存度が低下し、40年に80ドル程度となる。

 温暖化ガス排出減のカギを握る再生エネは40年までに増える発電能力の6割を占める。急速な普及でコストが低下し、多くの地域で補助金不要になるという。太陽光は40~70%、陸上風力は10~25%コストが減るという。

 ただ再生エネの多くは天候や時間によって発電量が変わる。大量導入は電力系統を不安定にするリスクがあるとされる。IEAは風力と太陽光をうまく組み合わせて需要に合わせたり、再生エネの出力調整を可能にしたりする技術革新を進め、大量導入時代に備えるべきだと主張した。

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