トルコが貸出金利上げ 0.75%、インフレ見通し悪化で
【イスタンブール支局】トルコ中央銀行は16日開いた金融政策決定会合で、事実上の上限金利として使用する「後期流動性貸出金利」を0.75%引き上げ11.75%とする引き締め策を実施した。同金利の引き上げは2会合連続。主要な政策金利である翌日物貸出金利は9.25%、1週間物レポ金利は8%で据え置いた。
中銀は16日の声明で「インフレ見通しの悪化を封じ込めるため金融引き締めの強化を決めた」と1月会合と同じ表現で決定理由を説明した。中銀の発表を受け、通貨リラの対ドル相場は上昇した。
米連邦準備理事会(FRB)は15日、0.25%の利上げを決めた。ただ市場の一部であったFRBが利上げを加速するとの見方が後退したことで、リラなどの新興国通貨を売る動きは起きなかった。このためトルコ中銀は今回は主要な政策金利の引き上げは不要と判断したもようだ。
リラは米国へのマネー回帰の動きに伴い、昨秋以降急速に下げ幅を広げてきた。通貨安はインフレ率の上昇や外貨で借り入れを行う企業の資金繰り難を招き、景気の減速要因となっている。
抜本的なリラ防衛には、ローン金利の上昇などの犠牲を払ってでも主要な政策金利を大幅に引き上げる必要性が指摘されている。
トルコでは4月16日にエルドアン大統領の権限を強化する憲法改正案の是非を問う国民投票が迫る。中銀は建設投資や消費の冷え込みを嫌うエルドアン氏の意向にも目配りしなければならない事情を抱える。