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中国、越境ECの通関優遇継続 国内消費底上げ

【大連=原島大介】中国はインターネット通販で海外品を購入する「越境EC(電子商取引)」の通関手続きについて、現行の優遇措置を2017年末まで継続する。当初は同年5月に一般貿易並みに厳格化する方針だった。成長が続くネット通販をテコに消費を底上げし、国内景気への波及を狙う。優遇制度継続は日本企業の業績にも影響しそうだ。

越境ECの現行制度では、通関の際に原産地や正規品であることの証明など煩雑な手続きが不要。食品や化粧品など健康に影響がある商品でも、中国の品質基準を満たさずに販売できるといった優遇措置がある。ネット通販の振興が目的だが、通常の貿易業者との不公平感が生じていた。

このため中国は4月に優遇措置の廃止を決定。ネット通販業者らが対応できず、通関手続き長期化による商品遅配などの混乱を招いた。移行期間として1年間の延長を決め、来年5月に改めて実施する予定だった。

来年末までのさらなる延長に関し、中国は表向き「現行制度の下で越境ECが混乱なく発展しているため」(商務部)とする。ただ実際は「伸びない国内消費への危機感の表れ」(小売関係者)との見方が強い。

中国は製造業主導の経済成長が踊り場を迎え、消費をテコにした経済浮揚を目指している。だが10月の社会消費品小売総額(小売市場に相当)は前年同月比10%増と2ケタ割れが目前に迫るなど消費は力強さに欠ける。

消費拡大のけん引役だったネット通販は前年比で25%程度の伸び率を維持するが、40%近く伸びていた昨年ほどの勢いはなくなりつつある。優遇措置の廃止はネット通販の低迷につながるだけに、消費の腰を折りかねないと判断したようだ。

中国の調査会社、艾瑞諮詢によると、16年の越境EC市場は前年比33%増の1兆2千億元(約19兆円)と拡大する見通し。特に品質の高さなどから日本製品への人気が高く、日本企業の参入も進む。今回の優遇措置の延長は、日本からネット通販経由で商品を輸出するメーカーなどにとってコストメリットが大きい。

一方、中国で店舗展開するドラッグストアや百貨店などの小売店にとってはマイナスだ。一般の貿易制度で商品を輸入するため、ネット通販に比べて価格や品ぞろえで見劣りし、競争力の低下につながるためだ。不動産価格の上昇による賃料負担も重くのしかかっており、さらなる業績悪化につながる恐れがある。

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