米、原油輸出40年ぶり解禁へ 原油安の圧力強まる
米議会与野党が合意

2015/12/17 0:35
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タイダル・ペトロリアムのシェール生産現場では次の開発に向けパイプが準備されていた(テキサス州)

タイダル・ペトロリアムのシェール生産現場では次の開発に向けパイプが準備されていた(テキサス州)

【ワシントン=川合智之】米議会の与野党幹部は15日、40年続いた米国産原油の輸出禁止措置を撤廃する法案を提出することで合意した。輸出が解禁されれば、シェール革命で世界最大の産油国となった米国の割安な原油が市場に出回ることになり、原油安の圧力が強まりそうだ。

2016会計年度(15年10月~16年9月)の暫定予算が16日に期限を迎えることを受け、与野党は予算協議を続けてきた。エネルギー業界を有力な支持基盤とする共和党は、予算法案とセットで原油輸出解禁法案を審議するよう与党・民主党に要求した。

民主は原油輸出を認めれば石油資源の生産増につながり、二酸化炭素(CO2)排出量が増え地球温暖化対策に逆効果だとして反対してきた。ただ太陽光・風力発電の税額控除の5年延長など、オバマ政権が進める環境対策を予算案に盛り込むことを条件に、原油輸出解禁を認めることで共和と折り合った。複数の米メディアが報じた。

予算案は総額1兆1千億ドル(約130兆円)。医療保険制度改革(オバマケア)の関連予算などを巡り与野党の一部に反対意見は残るものの、上下両院で法案が近く通過する見通しだ。

これまでオバマ政権は原油輸出解禁法案が議会を通れば、拒否権を発動すると表明してきた。ただ暫定予算が期限切れになれば政府機関の閉鎖を迫られ、政権への批判が強まりかねないため、法案に署名する公算が大きい。

水圧破砕法などの新しい採掘技術で米国はシェールオイルを増産し、2014年にはサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国となった。一方で国内在庫が膨らみ、米国内のガソリン価格は大幅に下落。業界から輸出解禁を求める声があがっていた。

米は第1次石油危機後の1975年、エネルギー不足への対策として米国産原油の輸出を原則禁止した。これまで米政府はカナダ向けの軽質油などに限って輸出を例外的に承認してきたが、生産量の数%にとどまる。輸出の全面解禁が決まれば、欧州やアジアなどで原油価格下落の圧力が一層強まりそうだ。

共和議員の一部からは、欧州などへの原油輸出が進めば、ロシアや中東へのエネルギー依存低下につながるとの意見もある。同盟国のエネルギー安全保障に直結するため、資源外交の有力なカードとして原油輸出を利用すべきだとの声が出ていた。

原油市場は米利上げやイラン産原油の輸出再開などの観測で価格が下げ止まらない。米国産原油の輸出が始まればさらに供給がだぶつくとの見方は強まっており、原油安に拍車がかかる可能性もある。資源輸入国の日本経済にはプラス面もあるが、資源国の景気低迷が続けば輸出への影響も出てきそうだ。

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