米同時テロ「サウジが支援の証拠なし」 報告書、新たに開示
【ワシントン=川合智之】米議会は15日、2001年の米同時テロに関する報告書のうち、機密扱いでこれまで非公開だった28ページ分の内容を開示した。サウジアラビア政府が国際テロ組織アルカイダを組織的に支援した証拠はなかったが「ハイジャック犯の一部がサウジ政府と関係する可能性がある人物と接触し、支援を受けていた」と指摘した。
米政府は文書の一部を黒塗りとしたまま公開した。サウジ当局者が実行犯に対し、アパートを借りたり銀行口座を開くのを支援し、生活資金も提供していたという。一方で「サウジ政府が組織的に、あるいは政府高官が個人的に、テロ組織に資金支援していた証拠は見つからなかった」としている。
テロ実行犯19人のうち15人はサウジ国籍だった。報告書は当時のブッシュ政権が「安全保障にかかわる」として一部の公表を拒んだ。サウジ政府は無用な疑いを招くとして、03年から非公開部分の開示を求めてきた。米メディアによると、在米サウジ大使館は今回の文書公開で「長年の懸念や疑いが晴れたと期待している」と表明した。
同時テロの遺族らはサウジ政府を連邦裁判所に提訴したが、従来は外国政府の免責特権を理由に審理されなかった。ただ今春に米議会は遺族がサウジ提訴を可能にする法案を審議。サウジ側は法案が成立すれば保有する米国債など7500億ドル(約79兆円)を売却すると警告していた。