スイス当局、亡命チベット人デモを強制排除
【ベルン=共同】中国の習近平国家主席がスイス公式訪問を始めた15日、習氏が訪れた首都ベルンの連邦議会の前では中国のチベット政策に抗議の声を上げようと亡命チベット人が集まった。だがスイス当局は多数の警官を動員。デモ参加者らを議会前から遠ざけ、従わない人を次々と拘束し強制的に排除した。
国家主席によるスイス公式訪問は1999年の江沢民氏以来。江氏がベルンを訪れた際、亡命チベット人らのデモに激怒したハプニングがあり、当時の経験からスイス当局がデモに神経質になっているようだ。
「チベットに自由を」「習近平は出て行け」。亡命チベット人の男性が叫びながらチベットの旗を掲げると、警官数人が取り囲み拘束。周辺にいた人からは警察側のなりふり構わぬ露骨な対応にブーイングも起きた。
議会前から遠ざけられたスイス在住の亡命チベット人の男性は「中国に気を使っているのか。民主主義の国で表現の自由を抑え込むようでは情けない」と話した。
江氏は99年、ベルンで歓迎式典に臨んだが、会場に近づいた亡命チベット人らのデモと、これを規制しなかったスイス当局の対応に激怒し「今までこんな歓迎の仕方を受けたことはない」と公式演説を途中で打ち切った。