米製薬アッヴィ、アイルランド同業の買収撤回発表

2014/10/16付
保存
共有
印刷
その他

【フランクフルト=加藤貴行】米製薬大手のアッヴィは15日、アイルランドの同業シャイアーの買収計画を撤回すると発表した。米政府が節税目的の本社移転の規制強化に動き、国外に会社を設立することを含む買収の効果が不透明になったと判断した。総額320億ポンド(約5兆4700億円)の大型M&A(合併・買収)は合意から3カ月で破談になる。他の米国企業にも影響が広がりそうだ。

アッヴィのリチャード・ゴンザレス最高経営責任者(CEO)は同日の声明で「2社が統合する戦略的な合理性はあるが、課税ルールの変更により(シャイアーの)評価額の裏付けがなくなった」と説明した。買収計画は持ち株会社を税負担の少ない英国に置くことを前提としており、9月末の米政府の課税強化が撤回の理由と明言した。

アッヴィは20日の取締役会で買収計画の是非を判断する予定だったが、シャイアー側の要請を受け、前倒しした。アッヴィは違約金として約16億3500万ドル(約1750億円)をシャイアーに支払う意向だ。

研究開発費の負担が重い製薬・医療機器を中心に米企業の間では今年から租税回避を目的としたM&Aが活発になっていた。米医療機器大手メドトロニックは6月、アイルランド同業コヴィディエンを400億ドル超で買収し、アイルランドに本社を移す計画を発表した。米後発薬大手マイランも7月、米社の後発薬事業買収で合意し、新会社をオランダに置く方針だ。

アイルランド政府が14日、課税強化の方針を打ち出すなど、米国以外も規制に乗り出しており、各社はM&A戦略の見直しを迫られる可能性がある。メドトロニックは現時点で買収方針を変えていないが、米メディアによると、借入金の調達を増やすなど資金調達の手法を変更するという。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]