2019年7月22日(月)

英のEU離脱、賛否拮抗 国民投票に向け論戦開始

2016/4/15 22:07
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【ロンドン=小滝麻理子】6月23日の英国の欧州連合(EU)残留の是非を問う国民投票を巡る論争が15日、正式に幕を開けた。キャメロン首相が「残留が国益」と訴えるのに対して、離脱派は「EUから主権を取り戻そう」と主張し、両陣営の支持率は拮抗したままだ。「パナマ文書」により租税回避地への投資が発覚した同首相は支持率が急落するなど逆風が吹き、国民投票の行方は混沌としている。

国民投票の実施を取り仕切る選挙管理委員会は15日までに「残留」と「離脱」の両陣営のキャンペーンを行う主要団体をそれぞれ1つずつ選定。残留派はキャメロン首相も参加し、離脱派はジョンソン・ロンドン市長らの団体が率いる。各団体は700万ポンド(約10億円)を上限に、集会や資料配布などの活動を行う。

国民投票の質問も固まった。「英国はEUに残るべきか、離脱すべきか」を二択で問う。18歳以上の英国民が投票権を持つ。

15日からの正式なキャンペーン開始を受けて、ロンドン市内では残留派が国会議事堂近くで集会を開催。野党労働党のコービン党首も「残留」支持を表明した。同日夜から、ジョンソン市長らが中部都市マンチェスターなどを行脚し、離脱の大規模集会を行う予定だ。

英フィナンシャル・タイムズの直近7つの世論調査の平均値によると、「残留」が43%、「離脱」が42%と支持は拮抗したまま。いずれの陣営も大きく支持を伸ばす決定打を打ち出せていないのが実情だ。1割強の「浮動票」をいかに取り込むかが勝負になる。

足元ではキャメロン首相に悩ましい状況だ。英調査会社ユーガブが4月中旬に行った調査では、EUからの離脱の是非を巡る議論で、キャメロン首相を信頼できるとの回答は21%と、前回2月の調査から8ポイント下落。亡父が租税回避地に設けたファンドに同首相が投資していた問題が残留を訴える上で、足かせになっている。キャメロン首相は税逃れ対策の強化など信頼回復に躍起になっているが、どこまで尾を引くかが注目点だ。

産業界や金融市場は「離脱リスク」に警戒感を強める。中小企業では離脱支持も多いものの、最大のロビー団体、英産業連盟では8割の会員がEU残留を支持する。通貨ポンドは一時7年ぶりの安値を更新し、軟調な展開が続いている。

キャメロン首相は今年2月にEUと英国への移民に対する福祉制限策などの改革案で合意したが、国民の間ではさほど材料視されていない。「最終的には英国民がEUにいることで経済的恩恵や安全を感じられるかにかかっている」(シンクタンク、オープンヨーロッパのスワルディスキ氏)。難民危機の悪化や、新たなテロの発生などが起きれば世論が離脱に大きく傾くことも予想され、不確実な要素がなお多く残っている。

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