2019年9月18日(水)

仏サノフィと独ベーリンガー、事業交換へ交渉 欧州製薬大手

2015/12/15 22:40
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【フランクフルト=加藤貴行】欧州製薬大手の仏サノフィと独ベーリンガーインゲルハイムは15日、両社が事業交換に向けた独占交渉に入ったと発表した。サノフィは処方箋が不要な一般用医薬品(大衆薬)部門をベーリンガーから取得し、売上高はこの分野で世界トップクラスに躍進する見通しだ。代わりに動物用医薬品部門をベーリンガーに譲渡する。製薬業界では米ファイザーが規模拡大を目指した大型買収を決めたばかりだが、欧州勢はそれぞれの戦略分野を絞る再編が目立つ。

発表によると、2015年12月期の売上高の見通しで、サノフィからの動物薬部門は25億ユーロ(約3300億円)、ベーリンガーからの大衆薬部門は16億ユーロ。これとは別にベーリンガーは47億ユーロをサノフィに支払う。

両社の事業交換が成立すれば、サノフィの大衆薬部門の売上高は51億ユーロ(15年12月期見通し)に拡大し、英グラクソ・スミスクライン系や独バイエルなどと並ぶ業界トップクラスに浮上する。ベーリンガーの子会社である日本の大衆薬大手、エスエス製薬もサノフィに移る。

一方、ベーリンガーは、ペットや家畜など使う動物薬部門の売上高が現状の3倍近い38億ユーロ(同)に膨らみ、業界2位になる見通し。

ベーリンガーの中国の大衆薬事業は交換対象から外れる。規制当局の承認などを得て、16年10~12月の完了を見込む。

サノフィの14年12月期の売上高は337億ユーロ。医療用医薬品では業界4位に位置付け、動物薬と大衆薬も手がける。ただ、主力の糖尿病治療薬の特許が切れ始め、価格競争が激しくなっている。

今年4月、バイエル医薬品部門トップからサノフィの最高経営責任者(CEO)に就いたオリビエ・ブランディクール氏は11月に相乗効果の薄い事業は売却対象にする考えを示していた。早速決断した格好だ。

サノフィは消化器系や女性向けの大衆薬で強みを持つ。特許が切れた医療用医薬品の成分を転用する「スイッチOTC」も拡大が見込め、戦略分野と位置づけた。

一方、ベーリンガーはマーケティングなどコスト面の競争力が重要な大衆薬では、上位に規模が劣るため同部門を分離。従来型の医療用医薬品とバイオ医薬品、それに動物薬を中核事業に据える戦略を明確にした。

欧州の製薬大手の間では、14年から「選択と集中」を狙った事業再編が加速している。グラクソは同年春、ノバルティス(スイス)との大衆薬部門統合と、同社からのワクチン事業を取得し代わりに抗がん剤の製品群を譲渡することで合意した。今年2月に完了した。

ノバルティスはこれとは別に動物薬を米イーライ・リリーに売却。バイエルは米メルクの大衆薬を買収した。サノフィとベーリンガーの事業交換も同じ戦略といえる。

ファイザーは11月下旬、アイルランド同業のアラガンを1600億ドル(約19兆3600億円)で事実上買収すると発表した。欧州勢との違いが出ている。

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