難民対応で割れるEU、結論10月に持ち越し
政策限界に近づく

2015/9/15付
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【ブリュッセル=森本学、ベルリン=赤川省吾】流入する難民の対応で欧州連合(EU)が割れている。14日のEU内務・法務相理事会は7時間足らずの議論で散会し、結論を10月に持ち越した。背景にあるのは大勢の難民をだれが引き受けるのか、流入ペースをどう抑えるのかという2点で妙策が見つからないことだ。欧州の難民政策は限界に近づいている。

EUでの結論が先送りになったことを受けてメルケル独首相は15日、ベルリンでオーストリアのファイマン首相と会談する。流入が続く難民を当面どう扱うかを協議するとみられる。

14日の理事会では、欧州に流入する難民のうち16万人を加盟国で分担して引き受け、自国内に定住させるという欧州委員会の提案を巡って協議した。人口や経済力などに応じて引き受ける人数を各国に義務付け、ギリシャやイタリア、ハンガリーに集中する難民受け入れの負担を分担するのが狙いだった。

だが中・東欧などが激しく反発。シリアやイラクの情勢が出口の見えない状態で、難民受け入れに寛容な姿勢をみせれば、むしろ流入ペースが加速するとの不安からだ。難民が欧州社会に溶け込めず、テロの温床になりかねないとの反対論も根強い。

EUには最初に到着した国で難民申請をする「ダブリン規則」というEUの仕組みがあるが、今や破綻状態にある。EUによると2015年1~3月に人口100万人あたりの難民申請はEU平均で365人。しかしハンガリーは20倍の7245人に達した。欧州の外周部の国に負担を強いた結果、難民を持て余した格好だ。

今年の欧州の難民申請は昨年の3倍超の200万人に迫る勢い。中・東欧ではむしろ「難民拒否」が国民の拍手喝采を浴びる。ハンガリーは国境警備に軍隊も投入。15日からは、国境沿いに設けた有刺鉄線のフェンスを許可なく越えた難民を逮捕できるようにした。ドイツは流入を抑えるため、13日に国境検問を再開したが抜本策とはいえない。

結局、理事会では6月の首脳会議で合意済みだった4万人の難民の受け入れ分担を早急に実行することを正式決定するにとどめ、残る12万人の分担は結論を持ち越した。デメジエール独内相は「いくつかの国は責任感がない」と批判した。

EUは来月8~9日に改めて内務・法務相理事会を開き、意見の集約を目指す。そのうえで10月15~16日のEU首脳会議で包括的な難民対策を決める段取りだ。早急な受け入れ分担の合意が課題となるが、10月合意のハードルは高い。

結論先送りで、ギリシャやイタリアなどの一時収容施設で暮らす難民らの身分は宙に浮いた状態が続く。冬到来を目前に、なお路上や駅舎などで過ごす難民も少なくない。だれが彼らを引き受けるのか。欧州は今、既存の難民認定制度を含む難民政策を根底から見直す必要に迫られている。

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