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中国「一帯一路」会議が閉幕 リスク高で投資は低調

(更新)

【北京=原田逸策】中国の「一帯一路(海と陸の現代版シルクロード)」構想の初めての国際会議が15日、2日間の日程を終えて閉幕した。習近平国家主席は閉幕後の記者発表で、次回の会議を2019年に開くと表明した。

15日採択した共同声明は「世界の貿易と投資の伸びは依然として低迷している」と指摘。米国を念頭に「自由な貿易を確保し、あらゆる形態の保護主義に反対する」と表明した。そのうえで「一帯一路の提唱は各国に協力を深める重要な機会を提供し、積極的な成果をもたらした」とした。

会議には100カ国以上の1500人が参加。イタリア、ロシア、インドネシアなど29カ国の元首が集まった。

中国は会議に間に合わせる形で滞っていた大型案件を動かした。インドネシアの高速鉄道は14日に融資契約を結び、アルゼンチンの原発建設も着工へ前進した。習氏は一帯一路に投資するシルクロード基金の増額や政策金融機関による融資など計7800億元(約12兆8千億円)の追加の資金拠出も表明した。

一帯一路はインフラ建設と引き換えに親中国の勢力圏を広げる試み。沿線にはアジア、アフリカ、欧州の64カ国があり、政治体制や経済の発展段階もばらばら。多様な国を実利で緩やかに束ねる仕組みだ。中国は経済を武器に自らの勢力圏を築く狙いだが、一帯一路の投資は盛り上がらない。

収益率が低いわりにリスクは高く、民間企業は二の足を踏む。大半が国有企業による投資とみられる。中国経済の構造矛盾も深まっており、先行きが不安視される。開発金融機関の幹部は「途上国のインフラ投資で融資対象になりうる案件は非常に少ない」と話した。

菅義偉官房長官は15日の記者会見で、一帯一路について「地域の持続的な発展に資するものに具体化されていくか、政府として注視していきたい」と語った。安倍政権は自民党の二階俊博幹事長や首相の政務秘書官を務める今井尚哉氏らを一帯一路会議に派遣した。

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