2019年9月18日(水)

FRB議長、トランプ政権と距離 財政・移民政策に注文

2017/2/16 0:10
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は14日の米議会証言で、トランプ政権の税財政政策や移民政策などに注文を付けた。「現在の財政政策は持続可能ではない」と主張し、一段の財政悪化に警鐘を鳴らした。移民を制限すれば「米経済も減速する」とも指摘。イエレン議長は来年2月に任期が切れるが、トランプ氏の路線との違いが鮮明になっている。

「現在議論されている政策は、財政赤字を拡大させる」。イエレン氏は上院銀行委員会での質疑で、トランプ政権の財政政策に不安を漏らした。

トランプ大統領は法人税と個人所得税の大幅減税を打ち出しているが、10年で約5兆ドル(約570兆円)も財政赤字が拡大すると見込まれる。連邦政府債務は既に過去最悪の20兆ドル規模に達し、一段の財政悪化は長期金利の上昇を招く。

減税やインフラ投資は短期的には成長率を押し上げるが「米労働市場は既に完全雇用に近い」(イエレン氏)。FRBは雇用が逼迫する中で景気刺激策を打てば、賃上げ圧力が高まってインフレが急伸すると懸念する。想定以上のペースで利上げを迫られれば「結果として景気後退を招く」とイエレン氏は指摘する。

「移民は労働力拡大の源泉だ。移民の流入が減れば、経済成長率も減速するだろう」。イエレン氏は移民政策にも言及した。トランプ大統領はイスラム圏7カ国からの入国を禁じた大統領令に署名。裁判所の決定で差し止められているものの、トランプ氏は移民制限には前向きだ。イエレン氏は米国の労働力人口の伸び悩みに懸念を示し、移民の減少は米国の成長を損なうとまで指摘した。

トランプ氏が大統領令で指示した金融規制の緩和も半身のままだ。イエレン氏は「大統領令が示した原則には確実に同意する」と述べたものの、規制が民間融資を妨げているとの指摘には「商工ローン残高は2010年比で75%も増えている。中小向け融資を含め、貸し出しは全体的に拡大している」と反論した。

「年数回の利上げが適切だ。3月か5月か、それとも6月か。いずれも利上げの可能性がある」。イエレン議長は年前半の利上げに意欲をみせた。14日の外国為替市場では、FRBが想定以上に利上げに積極的だとの見方が浮かび、ドル高がさらに進んだ。

トランプ氏は「ドルは強すぎる。米企業は競争できない」などと通貨高を盛んにけん制する。貿易赤字の拡大につながり、同氏を熱狂的に支持した中西部の労働者層に報いることができなくなるためだ。FRBが利上げを加速すれば、ドル高を抑える口先介入の効果はまったくなくなる。

イエレン氏は18年2月までの任期を「全うする」と強調するが、続投への意思は薄れつつあるようにみえる。トランプ氏は選挙戦中にイエレン氏を「政治的だ」と批判。その反発からか、トランプ政権とは徹底して距離を置きつつある。

10日には金融規制担当のタルーロ理事がトランプ大統領に辞意を伝えた。FRBは2人分の理事ポストが既に空席。フィッシャー副議長も来年6月に任期切れで、FRBは正副議長と理事を合わせて5つのポストが宙に浮くことになる。トランプ政権とのすきま風が強まれば、人事の大幅刷新につながる可能性がある。

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