日本の「為替監視」維持 米報告書、円相場は「円滑」

2016/10/15 12:51
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【ワシントン=河浪武史】米財務省は14日、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表し、対米貿易黒字の大きい日本を引き続き「監視リスト」に指定した。リストにはスイスも加え、6カ国・地域を対象とした。リストは経済制裁などを伴わないものの、通貨安誘導を抑止する狙いがある。円相場は「円滑に機能している」と指摘し、円売り介入の思惑を改めてけん制した。

「監視リスト」は今年4月の為替報告書で初めて設け、日本と中国、ドイツ、韓国、台湾の5カ国・地域をまず指定した。リストは(1)対米貿易黒字が年200億ドル超(2)経常黒字が国内総生産(GDP)比3%超(3)一方的な為替介入による外貨買いがGDPの2%超――のうち、2条件に該当すれば指定する。3条件すべてに抵触すれば、経済制裁の検討に入る。

日本は物品貿易の対米黒字が676億ドル(直近までの1年間)と大きく、経常黒字もGDP比3.7%と高い。為替介入を避けてきたため制裁の検討対象にならないが、日米間の貿易不均衡をけん制するため、米当局は引き続き監視リストに指定した。

足元で進んだ円高については「国際通貨基金(IMF)によると、円相場の動きは中期的なファンダメンタルズ(基礎的条件)に沿っている」と主張した。「市場は円滑に(smoothly)機能している」とも指摘し、日本側の円売り介入の思惑に引き続きクギを刺した。

ただ、これまで円ドル相場を表現してきた「秩序的(orderly)」との文言は使わなかった。国際的に為替介入が認められる「無秩序な動き」かどうかを巡って、日米当局間で応酬が続いてきた経緯があり、表現を変えることで摩擦を和らげる狙いもあるとみられる。

中国については、人民元安による資本流出を食い止めるため「今年8月までの1年間で5700億ドルを超す外貨建て資産を売却した」と推測した。人民元高誘導を強めているにもかかわらず「物品貿易で巨額な対米黒字を計上している」とも指摘し、貿易不均衡に強い警戒感を示した。

ドイツには「巨額の経常黒字を抱えている」と指摘し、内需拡大を求めた。スイスは対米貿易の拡大で今回から半期為替報告書の対象となり、スイスフラン売り介入を繰り返していることから監視リストにも加わった。

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