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オランダ下院選、与党と極右が激戦 投票始まる

【ハーグ=森本学】オランダで15日、下院選(定数150議席)の投票が始まった。事前の世論調査では、ルッテ首相率いる中道右派で与党の自由民主党と、「反イスラム」を掲げる極右・自由党が第1党を争う展開になる。エスタブリッシュメント(既存体制)への反発を追い風に勢いづく欧州のポピュリズム(大衆迎合主義)の行方を占う試金石となる。

世界で相次ぐ「ポピュリズムのドミノ倒しをオランダで止める」。ルッテ首相は下院選をこう位置づける。欧州連合(EU)離脱を決めた英国の国民投票やトランプ米大統領誕生に続き、オランダでポピュリズム政党が勝利すれば、4~5月に迫ったフランス大統領選や9月のドイツ連邦議会(下院)選にも響くとの危機感がにじむ。

ただルッテ政権が進めた財政健全化のための年金支給年齢引き上げなど社会保障改革には不満の声が強く、連立政権を組む自由民主党と労働党にとって厳しい選挙戦となった。最新の世論調査によると、自由民主党は第1党は辛うじて維持するものの、現有の40議席から27~29議席へ後退する見通し。中道左派の労働党は同35議席から9~12議席と惨敗が見込まれる。

代わりに勢いづくのが極右・自由党だ。過激な「反イスラム」や反EUを掲げる一方で福祉拡充を訴えるなど、ポピュリズム的な主張が主流政党に反発する人々の受け皿となっている。世論調査では現有の12議席から16~24議席へ躍進が見込まれている。

ハーグで私設託児所などの仕事をするルナさん(53)は自由党へ投じるつもりだ。「私は働いても十分に稼げないのに、移民には政府から毎週現金が支払われる。私のほうこそ自分の国から差別されている」と嘆く。過激な自由党の「反イスラム」姿勢にも「オランダに来るなら、オランダ文化に同化すべきだ」と賛同する。

「我々のオランダを取り戻す」。自国最優先を訴えるウィルダース党首は、オランダ下院選が欧州に広がる「愛国者の春の始まり」になると主張する。盟友の仏極右・国民戦線(FN)のルペン党首も大統領選で首位争いを演じている。

オランダは選挙戦終盤にイスラム国家のトルコと同国外相の入国拒否などを巡り対立が激化。ロッテルダムでトルコ系移民と治安部隊の衝突が生じる事態に発展した。「反イスラム」のウィルダース党首は駐オランダのトルコ大使の「追放」を訴えるなどあおっており、自由党への追い風になるとの見方もくすぶる。

第1党を争う自由民主党と自由党を追いかけるのが、キリスト教民主勢力(CDA)で予想獲得議席は19~23。「反主流派」の受け皿となっている環境政党のグリーン・レフト(同14~20)や親EUで中道リベラルの民主66(同15~20)なども大きく議席を伸ばす見通しで、混戦模様となっている。

下院選後の連立政権交渉は難航が必至だ。4~5党の連立を見込む声が大勢だが、政権樹立までに長い時間を要するとの見方もある。自由党に対しては他の主要政党が軒並み連立を拒んでおり、仮に第1党の座を奪っても極右政権の誕生は難しそうだ。

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