FRB議長、年前半の利上げに意欲 3月含め「数回で判断」
(更新)
【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は14日、米上院銀行委員会で証言し、焦点の追加利上げは「今後数回の会合で判断する」と述べた。3月中旬の次回会合も排除せず、年前半の金融引き締めに意欲をみせたものだ。トランプ政権の財政拡張策には「長期的な経済成長や持続可能な財政収支との両立が重要だ」と注文を付けた。
FRBは昨年12月に1年ぶりの利上げに踏み切り、2017年は年3回の引き締めを想定している。市場は次回の利上げ時期を注視しているが、イエレン氏は上院委での証言で「追加利上げの条件は、雇用と物価が想定通りに改善するかどうかだが、今後数回の会合で判断するつもりだ」と主張した。
FRBは3月14~15日に次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、その後は5月初旬、6月中旬にも会合がある。金融市場は6月の利上げを最有力視しているが、イエレン氏の発言は3月の次回会合も排除せず、6月までの会合で追加利上げする考えを示唆したものだ。イエレン氏は「利上げを先延ばししすぎるのは賢明ではない」とも強調した。
トランプ政権の財政拡張策にも注文を付けた。税財政政策は「生産性の改善が目的で、長期的な経済成長と生活水準の向上につながることが重要だ」と指摘した。FRBは労働市場が完全雇用に近づいたとみており、大型の景気刺激策を打てば、想定以上のインフレ圧力をもたらす可能性があると懸念している。
そのうえでイエレン氏は「持続可能な財政収支との両立を望んでいる」とも主張。トランプ政権の大型減税によって、財政が急激に悪化するリスクにも警戒感をにじませた。