2019年1月21日(月)

グーグル、狭まる包囲網 欧州委が検索・OSに続き警告

2016/7/15 0:46
保存
共有
印刷
その他

【シリコンバレー=小川義也】欧州委員会が米グーグルに三たび「警告」を発した。今回新たに標的となったインターネット広告事業は、グーグルの売上高の9割を占める主力事業。最終的に独禁法違反と認定された場合の影響は小さくない。欧州連合(EU)の中でも穏健派だった英国の離脱で強硬姿勢が強まるとの見方もあり、包囲網は一段と狭まりそうだ。

欧州委がEU競争法(独占禁止法)に違反した疑いがあるとしてグーグルと持ち株会社のアルファベットに「異議告知書」を送付するのは、買い物検索と携帯端末向け基本ソフト「アンドロイド」に続き3件目。グーグルは10週間以内に反論するか、改善策を示して和解するかを迫られる。

グーグルは利用者が入力した検索キーワードに連動した広告を表示する「検索連動型」のネット広告を自社サイトだけでなく、仲介業者を通じて第三者のサイトにも配信している。欧州委によると、欧州での検索連動型広告のシェアは約80%に達する。

欧州委は仲介業者とグーグルの広告配信サービスを利用するサイトに対し、(1)競合サービスが配信する広告の掲載を禁じる、(2)グーグルが配信する広告を最も目立つ場所に一定数以上掲載することを義務付ける、(3)競合サービスの広告を掲載する場合、事前にグーグルの了承を取り付けることを義務付ける――といったグーグルの行為が「独占的地位の乱用」にあたると見ている。

2015年のグーグルの広告収入は673億ドル(約7兆1000億円)と、売上高全体の9割を占める。ただ、欧州委が今回指摘したネット広告事業における問題行為の一部はすでに改善されており、「アンドロイド」の問題に比べると影響は小さいとの見方もある。

グーグルは14日、「我々のイノベーションと製品の改善は欧州の消費者の選択肢を広げ、競争を促進してきた。欧州委の新たな主張を精査し、数週間以内に詳細な回答を用意したい」とのコメントを発表した。

欧州委は昨年4月に最初に警告した買い物検索についても、新たな見解を加えた「補足異議告知書」をグーグルとアルファベットに送付。グーグルは昨年8月、買い物検索に関する欧州委の見解を「事実無根」と反論しており、欧州委が新たな論拠を提示した格好だ。

グーグルのライバルからは「早ければ15年中にも」とみられていた買い物検索に関する最終判定が遅れていることに落胆の声も漏れる。欧州委はアンドロイドについても、7月下旬としていたグーグル側の回答期限を9月上旬まで延期しており、どちらのケースも最終的な判断にはまだ時間がかかるとみられる。

もっとも、グーグル側が先行きを楽観できる状況ではない。欧州委で競争政策を担当するベステアー委員は14日の会見で、旅行や地域情報の検索、ニュースや写真の取り扱いについても、独禁法に違反した行為がないかどうか「関心を持って見ている」と発言。"戦線"をさらに広げる可能性を示唆した。

グーグルは英国のEU離脱で同社に対する欧州委の強硬姿勢が強まることにも警戒を強める。AFP通信によると、米国のルー財務長官は13日、ブリュッセルのEU本部を訪ねてベステアー委員と会談した。

グーグルの競争法違反の疑いを巡る問題についても協議したとみられるが、米IT企業に比較的好意的だった英国の"タガ"が外れたEUで「ネット保護主義」が勢いを増す可能性は高い。懸念材料が増えたグーグルの経営陣は一段と難しいかじ取りを迫られそうだ。

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報