2019年1月20日(日)

英メイ政権、対EU難航も 交渉役に強硬派ずらり

2016/7/15 1:02
保存
共有
印刷
その他

【ロンドン=小滝麻理子】欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国のテリーザ・メイ首相(59)は主要な閣僚を指名した。焦点だった新設の「EU離脱担当相」と「国際貿易相」は筋金入りの反EU派の下院議員を任命。離脱派を率いたジョンソン・前ロンドン市長(52)を外相に起用し、交渉役に強硬な離脱派をそろえた。

テリーザ・メイ英首相=ロイター

テリーザ・メイ英首相=ロイター

EU離脱の前進と党内融和に目配りした組閣だが、離脱強硬派が交渉を主導することにEU側は警戒。交渉は難航する可能性もある。

13日夕、首相に任命されたメイ氏はすぐに組閣に着手した。最大のサプライズ人事がジョンソン氏の外相起用だ。国民投票で離脱派を率いたが、党首選への出馬を断念した。政治力を失ったかにみえたが、まさかの外相への抜てきで表舞台に復帰した。

ジョンソン氏は英外交の重責を担う。同氏は14日、ケリー米国務長官と電話会談したと述べたうえで「離脱後も世界で英国の存在感を高める」と訴えた。ジョンソン氏はオバマ米大統領について「親が(英植民地だった)ケニア出身で大英帝国嫌いは親譲りだ」と発言したことがある。人種差別的な発言がかねて批判され、外相の適性を疑う声も出る。エロー仏外相は14日「国民投票の運動中に多くのウソをついた」と批判した。

もっとも、近年は首相官邸や財務省が英外交を主導し、外務省の地位は低下気味。キャメロン政権ではオズボーン財務相が実質的な外相とされた。離脱派に強く支持されるジョンソン氏の処遇に外相は適しているとの声もある。保守党の有力議員は14日に「失言や失態があればメイ氏は容赦なく解任するだろう」と語った。

離脱交渉の中核になるEU離脱担当相は、デービス下院議員(67)が起用された。EU創設直後に英政府内で欧州担当を務めた。当時からEUに懐疑的な姿勢を貫く。

EUの官僚体質を激しく批判してきた。欧州委員会のユンケル委員長も「狂ったEU超国家主義者だ」と批判した。EU側は英国との単一市場を必要としているとして「交渉は難しくない。2年で終わる」と楽観的だ。新設の国際貿易相もEU懐疑派のフォックス元国防相(54)が就いた。

英王立国際問題研究所のホイットマン主任研究員は組閣について「政治的にとても練られた布陣だ」と指摘した。首相本人は残留派だったが、新政権を残留派で固めれば、党や国を再び分裂させかねない。交渉役にすえた離脱派の3閣僚に離脱交渉の重責を負わせることで「現実的になるよう圧力をかける意図がある」(ホイットマン氏)。交渉が迷走すれば離脱派は一掃される可能性もあり、メイ氏のしたたかな深慮もありそうだ。

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報