北朝鮮の金正男氏、殺害か マレーシアの空港で

2017/2/14 22:54 (2017/2/15 1:17更新)
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【ソウル=山田健一、シンガポール=吉田渉】マレーシア国営ベルナマ通信(電子版)は14日深夜、同国警察当局者の話として、クアラルンプール国際空港(KLIA)で男性が死亡し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、45)氏と確認したと報じた。韓国政府関係者も同日夜、マレーシア政府を通じて同氏の死亡を確認したと明らかにした。死因は不明としている。

北京行きの全日空機に乗り込む金正男氏とみられる男性(2001年5月、成田空港)

北京行きの全日空機に乗り込む金正男氏とみられる男性(2001年5月、成田空港)

北朝鮮に詳しい韓国の情報筋によると、金正男氏とみられる男性が13日にKLIAで女性2人に殺害されたという。KLIAを管轄する警察当局者は14日、日本経済新聞の取材に対して「40代の朝鮮系男性がKLIAで突然死した」と語った。

ベルナマ通信によると正男氏とみられる男性は13日午前のマカオ便への搭乗を予定していた。搭乗を待つ間に女性が背後から男性を襲い、液体を染み込ませた布で顔を覆ったという。男性は目に火傷(やけど)を負い、空港係員に救助を求めた。その後に搬送された病院で死亡が確認されたという。警察当局者は同通信に対し「北朝鮮大使館に事態を伝えた」と話した。

韓国メディアの報道によると、女2人組が男性を毒針で刺したという。2人はタクシーに乗って逃亡したとの情報もある。2人は北朝鮮の工作員だった可能性がある。

韓国の大統領府関係者は14日夜、報道について「確認できない」と語り、否定も肯定もしなかった。韓国のテレビ局YTNは「早ければ15日午前に韓国政府が見解を公表する」と報じた。

同氏は故金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男で、後継者の最有力候補と目されていた時期もある。2001年に偽造旅券を使って日本の成田空港から不法入国しようとし、東京入国管理局が入管法違反容疑で身柄を拘束したとされる。聯合ニュースは「成田空港での一件が後継者から外れる決め手になった」と指摘する。

最近の金正男氏はマレーシアやシンガポールなど、主に東南アジアを拠点に生活していたという。金委員長が後継者になった直後は不平を漏らすこともあったが、同委員長が権力を握ってからは政治向きの発言は減ったとされる。

金委員長は12日に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を地上用に応用した新型の中距離弾道ミサイルを日本海に発射するなど、国際社会に対して武力挑発を続ける。国内向けには「能力がついていかない自責の念で昨年(16年)を過ごした」と表明。敵対国に強く、国民には謙虚な指導者のイメージづくりを進めている。

殺害に金委員長が関与しているか、現時点では不明だが、韓国メディアは「潜在的な脅威である金正男氏を排除した」との見方を伝えた。金正男氏は13年に金委員長に処刑された張成沢(チャン・ソンテク)氏に近い。金正男氏が張氏らと組み、「中国の支援を得て、金正男氏を新指導者とする計画がある」との臆測が出たこともあった。

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