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「中国、金融監督強化を」 IMFが報告書

【北京=原田逸策】国際通貨基金(IMF)は14日発表した中国経済の年次審査報告書で、中国が進める金融監督の強化について「極めて重要で経済成長が鈍っても継続すべきだ」とした。今年の成長予測は4月時点の6.6%から6.7%に上げた。ただ、同日発表の経済指標には金利上昇の負の影響が出始めており、金融改革と安定成長の間で習近平指導部は難しいかじ取りを迫られる。

IMFのリプトン筆頭副専務理事は同日の北京市内での記者会見で「金融機関の資産の伸びが非常に速く、経済規模の数倍に達した。金融システムも複雑でリスクがある」と監督強化の必要性を指摘。「いまは成長が力強く構造転換の圧力を緩められる」とも語り、改革を進める好機と強調した。

14日発表された5月の主要経済統計によれば足元の中国経済は堅調。工業生産は前年同月比6.5%増、社会消費品小売総額は同10.7%増といずれも伸び率は4月から横ばい。公共投資が柱の内需だけでなく、米国や欧州向け輸出など外需も改善。「中国経済にとって以前より有利な外部環境が整いつつある」(清華大学の白重恩教授)

年後半の減速要因になりそうなのが、習指導部が年明けから進める金融部門の監督や規律の強化。中国人民銀行(中央銀行)が市場金利を引き上げたほか、監督部門が相次いで金融機関の規律を強める通達をつくった。監督当局や金融機関の幹部も規律違反で相次ぎ摘発した。中小銀行などが市場で借り入れを膨らませ、金融商品に投資するなど市場の変動に脆弱な体質になっていたからだ。

ただ、改革も性急に進めれば市場が動揺し、経済が失速しかねない。

人民銀によると、5月末の現預金総額(M2)は前年同月比9.6%増えた。伸び率は4月より0.9ポイント縮小し、統計を遡れる1997年以降で最低。「金融機関同士のレバレッジ低下を反映した」(人民銀)という。

5月は社債の新規発行から償還を差し引くと2462億元(約4兆円)のマイナスだった。マイナス幅は過去最大とみられる。社債金利と連動性が高い上海銀行間取引金利(SHIBOR)は1年物で4.4%と2年1カ月ぶりの高水準。調達コストの上昇で社債発行を延期する動きが広がった。

民間調査では5月の住宅ローン金利(1軒目の購入者が対象)は35都市の平均で4.73%。4月より0.21ポイント上昇した。金利上昇も響き、1~5月の不動産販売面積は前年同期比14.3%増と1~4月より1.4ポイント伸びが縮小した。3カ月連続の減速となる。

気がかりなのは人民銀に加え、銀行、保険、証券と業界ごとに縦割りがきつい金融監督体制だ。政府系研究機関の研究者は「必ずしも横の連携がとれていない」と指摘する。それぞれが監督強化を競い、結果として過剰規制で市場に混乱を招く恐れは拭えない。

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