独バイエル、米モンサントを買収 6.8兆円で
【ロンドン=加藤貴行】ドイツの医薬・農薬大手バイエルは14日、遺伝子組み換え種子の世界最大手、米モンサントの買収で合意したと発表した。買収額は約660億ドル(約6兆8000億円)。両社合算の農業部門の売上高は約270億ドルに達し、農薬・種子の圧倒的な巨人になる。食糧需要の拡大で農業生産の効率化の必要が迫られる中、欧米大手は規模拡大で一気に集約に動く。
両社は、バイエルがモンサント1株当たり128ドルで全株を現金で取得し、負債も引き受けることで合意。7月に提示していた125ドルから上積みした。2017年末までの買収完了を見込む。
買収には各国・地域の独禁当局の承認が必要で、承認を得られず破談になった場合はバイエルがモンサントに20億ドルの違約金を支払う。
バイエルは農薬が強く、モンサントは種子を主力とする。新興国の人口増などで農薬と種子の需要が拡大する一方、企業側では生産効率向上に向けた製品の研究開発負担が増しており、業界再編が加速している。
モンサントは昨年、農薬首位のシンジェンタ(スイス)の買収に動いたが、シンジェンタの反対にあい断念。逆に今年5月からバイエルからの買収提案を受けていた。モンサントは提案を拒否しながら、両社の交渉は続きバイエルが条件を見直してきた。
業界では、昨年12月に米化学大手のダウ・ケミカルとデュポンが経営統合で合意し、農業関連事業を統合した新会社(売上高約160億ドル)を設立する予定だ。今年2月には中国国有化学大手の中国化工集団がシンジェンタの買収で合意した。