2019年3月20日(水)

オランド政権に打撃 対テロ、もろさ露呈

2015/11/14 22:30
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【パリ=黄田和宏】1月にテロが起きたばかりのフランスで再び大規模テロが発生した。フランスにとっては、世界が注目する第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)の開幕を今月30日に控えるという最悪に近いタイミングで、オランド政権への打撃は大きい。今回の事件は現代のテロを防ぐ難しさを浮き彫りにするとともに、各国にも大きな課題を突きつけた。

「フランスは過激派『イスラム国』(IS=Islamic State)にあらゆる手段をもって行動する」。オランド大統領は14日のテレビ演説で、怒りを抑えながらこう強調した。加えて仏国民に連帯を訴え、冷静に行動するよう呼びかけた。だが1月に続くテロの発生に、仏国民は動揺している。テロ現場近くにいた女性は仏テレビに「我々の平和はどこにいったのか」と涙ながらに訴えた。

ISは支持者に向けて「(ISに敵対する)軍人、民間人を攻撃せよ」と指示するくらいで、具体的な手法は必ずしもテロ組織と密接な関わりがない実行犯に委ねられることも多い。

ただ今回は複数の場所で同時にテロが発生しており、テロリストが事前の綿密な計画をもとに実行した可能性が高い。オランド政権は多額の予算を投入して、テロ対策を強化していたが、計画的な犯行を防げなかったことで批判が高まるのは確実だ。

とりわけCOP21が開幕する30日には100カ国以上から首脳が集まる予定。全体の参加者は約190カ国から4万人規模になる。COP21に備え、仏国内の空港や駅、観光名所には自動小銃を抱えた兵士が巡回し、警戒を強化していた。

重要な国際会議を前にテロが起きたことは、フランスの治安維持能力に疑問符がつきかねない。劇場に立てこもった犯人を制圧した際には多数の民間の死傷者を出したことも、対応が適切だったかが議論になる可能性がある。

フランスは12月に地方議会選を控える。各党は13日夜、当面は選挙活動を取りやめ、テロ対策を進める政府を支持する姿勢を示した。難民受け入れの拒否を訴える極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首も「怒りを覚える」とテロ行為を非難した。

だが、フランスは他の欧州各国に比べて景気回復が遅れており、世論は「治安が悪化する」「職が奪われる」との理由から移民や難民の受け入れに慎重だ。同時テロを機に一段と「反難民」感情が強まれば、FNへの支持拡大につながる可能性がある。

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