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天津爆発、当局に批判も 安全管理や情報開示で不備

【北京=山田周平】中国・天津市の港湾部の倉庫で12日夜起きた大爆発を巡り、当局の対応への批判が強まっている。消防隊の放水が爆発を招いた疑いや、危険な化学物質の管理がずさんだったとの見方が浮上しているためだ。市民がインターネットの交流サイト(SNS)で当局に不都合な批判や情報を流すことを完全に封じるのは難しく、習近平指導部は対応に苦慮している。

市当局によると、爆発による死者は14日夕の時点で56人。721人が入院中で、犠牲はさらに増える見通し。現場では14日にも小規模な爆発が起こった。事態の収束が長引くなか、市民や独立性の高いメディアはいらだちを募らせている。

批判の矛先が向くのは安全対策の不備だ。「(中国の規制で)化学物質の倉庫から1キロメートル以上離しておくべき新交通システムの駅や住居が近くにあった」(有力紙の新京報)。あからさまではないが、市当局の管理に疑問を呈している。

複数のメディアは爆発の前に起きた火災に消防隊員が放水したと報じている。化学物質には、水をかけると逆に火の勢いが増すものがある。当局の監視が緩いインターネットメディアでは、消防隊員21人が亡くなったのは初動ミスのためだとの批判が出ている。

情報開示の姿勢も問題視される。市当局は13日夕から断続的に記者会見を開いている。ただ、消火や救難に全力を挙げていると主張するばかり。メディアや市民が関心を寄せる原因や死者数の推移には十分に答えず、質問を打ち切っている。

ネット上では、爆発した倉庫を経営していた企業「瑞海国際物流」の経営者が市幹部の親族だとの説、現場で基準値を超えたシアン化合物など有毒物質が検出されたとの情報が流れる。会見ではこれらの疑問にも納得のいく回答はない。

中国では大きな事件が起きた場合、共産党の宣伝部門が報道を規制する通知を出す。今回も爆発直後の13日未明に、党が自らの代弁者と位置づける「新華社配信の記事を使うように」とメディアに通知したもようだ。

13日午後には、ネットの情報を管理する国家インターネット情報弁公室が、爆発についてSNSで事実と違う情報を流したとして、河南省の夕刊紙「鄭州晩報」に1週間のアカウント閉鎖を命令。習指導部は情報管理の姿勢を見せる。

それでも「大都市であれだけ大きな爆発があれば、記者や市民がネットで様々な情報を流すのは抑えきれない」(中国人記者)。SNSでは非公式に、記者団が市当局に「どうして現場を取材させないのか」などと詰め寄る場面の動画も流れている。

習指導部は13日夜に劉延東副首相を現地に派遣した。しかし、首相が陣頭指揮した過去の大規模災害に比べ、格は落ちる。省と同格の権限を持つ直轄市で、本来は危機対応能力があるはずの天津市当局に責任を押しつけるシナリオが浮かぶ。

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