2017年11月20日(月)

中国経済、緩やかに減速 環境規制の強化響く

2017/9/15 0:37
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 【北京=原田逸策】堅調だった中国経済が緩やかに減速し始めた。中国国家統計局が14日発表した8月の主な経済統計は、生産や投資の伸び率がいずれも縮小した。年初からの金利上昇や不動産市場の引き締めが効き始めたとみられる。さらに環境規制の強化で中小の工場を相次いで閉鎖していることも響いた。ただ、旺盛なインフラ投資などに支えられ、失速する可能性は小さそうだ。

 8月の工業生産は前年同月比6%増と2カ月連続で伸び率が縮小した。アルミニウム、コークス、セメントなど環境負荷の大きな製品はそろって減少した。8月の卸売物価が前月比1%近く上昇したのも環境規制で紙、化学製品、鉄などが値上がりしたからだ。

 統計局の劉愛華報道官は14日の記者会見で「環境調和型の発展理念を各都市が徹底した」と語った。中国政府は大気汚染が深刻化する冬場に向けて規制をさらに厳しくする方針で、北京周辺だけでも17万社が生産停止になる可能性がある。

 山東省中部の●(さんずいに鯔のつくり)博市で今月初め、ある金属加工会社の経営者が自ら命を絶った。環境基準を満たさず市当局から工場閉鎖を命じられ、銀行融資の返済や職員の給料支払いに悩んでいたという。同市は今年から環境規制を厳格化し、罰金や生産停止を迫られる企業が相次いだ。四川省などでも似た動きが広がった。

 8月は投資も振るわなかった。1~8月の固定資産投資は前年同期比7.8%増と1~7月より0.5ポイント伸び率が縮小。1999年以来18年ぶりの低水準だ。道路や鉄道などインフラ投資は20%伸びたが、製造業の投資が4.5%増にとどまった。年初からの金利上昇がじわり効いている。

 中国でも東北部の遼寧省はとりわけ景気低迷が深刻だ。同省の銀行監督当局トップは8月下旬の会見で「企業の手元資金が非常に苦しい。銀行に返済するため高利貸しに手を出している」と語った。中国人民銀行(中央銀行)は貸し出しの基準金利を15年10月に下げて以降、据え置く。

 貸し出しの目安となる基準金利だが、最近は同金利を上回る貸し出しが急増している。人民銀によると、6月は銀行が基準金利を上回る金利で貸した割合が64%に上昇。15年10月以来の高さだ。逆に下回る割合は16%と15年9月以来の低さ。昨夏以降の市場金利の上昇で、企業が体感する金利はかなり上がっている。

 バブルを抑えるため各地の地方政府が導入した不動産の購入制限策も効いている。1~8月の不動産販売面積は前年同期比12.7%増と1~7月より伸び率が1.3ポイント縮小。8月単月では4%の伸びにとどまった。

 ただ、いまの減速は習近平指導部の想定の範囲内とみられる。1~6月の国内総生産(GDP)は前年同期比6.9%増え、海外発の経済危機がなければ17年の成長目標「6.5%前後」を通年でも上回るのは確実だ。李克強首相も12日の記者会見で「改革開放、経済の構造転換と体質改善を力強く推し進める」と述べた。

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