化学大手のイネオス、車生産に参入 四輪駆動オフロードで
【フランクフルト=加藤貴行】スイス化学大手のイネオスは13日、自動車生産に乗り出すと発表した。英ジャガー・ランドローバー(JLR)が昨年生産をやめた四輪駆動のオフロード車をモデルに独自に車両を開発。英国での生産を検討し、日本円で数百億円を投じる計画だ。素材を供給する化学メーカーが自ら完成車の生産に乗り出すのは極めて珍しい。
イネオスのジム・ラトクリフ会長の肝煎りのプロジェクトで、JLRの「ディフェンダー」を継承するオフロード車をめざす。イネオスは半年間の事業化の検討を終え、新部門イネオス・オートモーティブを設立し、自動車の専門家らの採用を本格的に始める。
工場は英国に立地する方向で検討するが、実際の生産の時期や規模は不明だ。ラトクリフ氏は声明で「私は旧式ディフェンダーのファンで、そのオフロードの能力には敬意を払ってきた」と述べた。本業の化学品との関係には触れていない。
イネオスは非上場で、積極的にM&A(合併・買収)をしかけ規模を拡大してきた。米ケミカル&エンジニアリングニュースによると、2015年の売上高は284億ドル(約3兆2380億円)で化学業界の売上高では世界6位。米国産シェールガスを欧州にいち早く輸入し、コスト競争力を高めるなど機動的な経営で知られる。