シリア政権軍、アレッポ完全制圧へ 反体制派が撤退同意

2016/12/14 10:16
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【カイロ=岐部秀光、ニューヨーク=高橋里奈】シリアの反体制派は13日夜(日本時間14日未明)、アサド政権軍による攻勢を受け、最大拠点のアレッポから撤退することを条件とするロシアの停戦案に同意した。政権軍はアレッポを完全に制圧することになる。穏健反体制派を支援し和平実現を目指した欧米のシナリオは見直しを迫られる。5年を超すシリアの内戦は重大な転機を迎える。

シリア北部アレッポでアサド政権軍が制圧した地域の損傷した建物(13日)=ロイター

アサド政権を支えるロシアのチュルキン国連大使は13日、国連安全保障理事会の緊急会合で「(戦闘が続いていた)アレッポ東部の軍事行動は終わった」と指摘。会合後に「(反体制派の)戦闘員が脱出するための合意ができ、戦闘員は退去を始めた。その過程で軍事行動を停止した」と説明した。

トルコ外務省報道官も同日、反体制派とロシアの合意を確認すると述べた。シリア軍のメディアは13日夜「数時間のうちにアレッポは解放される」と報じた。反体制派の戦闘員はイドリブ県に退避する手はずだという。

緊急会合では、シリア政権とロシアに対する非難が相次いだ。潘基文事務総長は「親政権軍による空爆や処刑により、多くの市民が殺されている」と発言。米国のパワー大使は「情け容赦ない。恥を知るべきだ」と批判した。

シリアの内戦はアサド政権と反体制派、過激派組織「イスラム国」(IS)による三つどもえの構図が続いた。欧米やサウジアラビアなどアラブ諸国は穏健反体制派を支援して停戦を実現し、和平協議につなげようとしていた。

アレッポの拠点を失った反体制派は力を大きくそがれるが、アサド政権に対する抵抗を続ける構えだ。

 ▼アレッポ シリア北部に位置し、内戦が始まる前は同国最大の都市で、金融や産業の拠点だった。紀元前2000年ごろの文書にも存在が記述されるなど世界最古の都市のひとつ。古代から交易で栄えた。
2011年の中東民主化運動「アラブの春」が広がった際は大がかりな民衆の蜂起はなかった。しかし、アサド政権の打倒を目指す反体制派が軍事拠点にしたことから12年ごろから戦闘が本格化し、やがて最大の激戦地となった。主に都市の西部を政権軍、東部を反体制派が支配し、膠着が続いたが、今年に入りロシアの空爆支援を受けた政権軍が攻勢を強めた。
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