2019年5月23日(木)

中独「蜜月」に変化 独首相訪中、鉄鋼・南シナ海に懸念

2016/6/13 21:03
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【北京=阿部哲也、ベルリン=赤川省吾】訪中したドイツのメルケル首相は13日、中国の習近平国家主席、李克強首相と相次ぎ会談した。李氏との会談では中国の鉄鋼過剰生産や南シナ海での軍事行動に懸念を表明。経済協力は深めつつ、国際社会と摩擦が生じている中国の経済・外交政策に注文をつけた。独など欧州各国はこれまでの中国との「蜜月関係」を見直し、硬軟両にらみの姿勢に軌道修正しつつある。

「鉄鋼の過剰生産は世界的な問題。中国の努力だけでは改善できない」。北京市の人民大会堂で開いた首脳会談後の共同記者会見。李氏の発言に対し、それまで小さく相づちを打っていたメルケル氏が渋面を浮かべた。

中国は余剰鉄鋼を安値で欧州に輸出。歯止めをかけようと交渉に臨んだメルケル氏に中国側は「自分たちのせいではない」と譲らなかった。

メルケル氏にとって訪中は首相就任以来、今回が9度目だ。毎年のように繰り返す「北京詣で」では自動車やインフラ、環境などの分野で多くの投資案件を勝ち取ってきたが、今回は両国の思惑の違いが鮮明になった。

最大の理由はドイツの対中政策の方針転換だ。「自国企業と外資、自国製品と輸入製品で扱いが違うといった議論がいまだにある。中国はもっと市場開放を」。会見でメルケル氏は言い切った。会談では南シナ海や人権問題も取り上げた。言うべきことは言うとの姿勢が見え隠れする。

中国の台頭に欧州でも警戒感が高まっている。中国に甘く見られないため、意識的に苦言を呈した節もある。

とはいえ米国に次ぐ世界2位の経済大国となった中国との関係は引き続き重要だ。中国側でも国営新華社が伝えたのは会談の前向きな成果ばかりで、メルケル氏の苦言は「なかったこと」にしている。欧州政策の要であるドイツは「親中」にとどめておきたい。両国関係にはそんな打算と実利が見え隠れする。

今回の訪中団にはフォルクスワーゲン(VW)やBMW、シーメンスなど大手企業幹部も同行した。中国政府は先進国並みに製造業を高度化する中期計画「中国製造2025」を掲げており、それにドイツが協力することでも大筋合意した。

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