2019年2月20日(水)

ギリシャ前途険しく 法制化、議会説得が最初の壁

2015/7/14 0:14
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【アテネ=鳳山太成】欧州連合(EU)と金融支援の再開で条件付き合意したギリシャだが、前途は多難だ。まず15日までに議会で増税や年金改革の法案を通す必要があるが、いったんは国民投票で否決した財政再建は議員や世論からの不満が強い。しかし議会を通らなければ、肝心の支援交渉にもたどり着けない。国民の理解を本当に得られるのか。チプラス首相は厳しい政権運営を迫られる。

「ユーロ圏離脱は過去の問題となった」。チプラス氏は13日、ブリュッセルで首脳会議後に多くの成果を強調したが、多くの宿題を抱えて帰国することになった。

最初に立ちはだかるのは自国議会の説得だ。ギリシャ議会が11日に承認した改革案はレストランでの付加価値税(VAT)の引き上げや貧しい年金生活者への特別給付廃止など一部でEU側に譲歩したもの。チプラス氏率いる急進左派連合(SYRIZA)など連立与党のほか、親EUの野党が支持に回り、300議席の8割以上が賛成票を投じた。

15日までの議会では改革案全体ではなく、各法案ごとに審議する必要がある。「総論賛成、各論反対」の議員らをまとめ上げ、すべての法案を通すのは簡単ではない。

通すべき法案も多様だ。増税や年金の制度改革に加えて、基礎的財政収支が赤字にならないよう歳出を自動的に抑制する法案なども通さなくてはならない。ギリシャの政府統計の信ぴょう性を高めるため、統計局の独立性を高める法案もある。

チプラス政権の基盤は盤石ではない。SYRIZAの議員149人のうち11日の採決では17人が賛成しなかった。賛成した別の議員15人も同日、チプラス氏に送った手紙で、さらなる改革を議論する場合は反対すると主張した。

連立与党も不安定だ。連立相手で13議席を持つ「独立ギリシャ人」も11日の採決では改革案全体に賛成したが、カメノス党首は離島における軽減税率の廃止には反対している。個別の法案では議論が紛糾する可能性が高く、野党の協力が欠かせない。

チプラス氏は法案を通すため、閣僚を含む造反組の除名や内閣改造、連立相手の組み替えなど、強硬策に打って出るとの観測も出ている。政局が流動化すれば、法案審議が滞る可能性もある。

国民の反発を抑えきれるかも不透明だ。過去の政権も公務員の削減など「聖域」に踏み込めば、ストライキや抗議デモで支持率が低下し、総選挙で政権を失ってきた。空港や港など500億ユーロに上る国有資産の売却は、チプラス氏自身が今年1月に政権を取ってから執行を止めた経緯がある。

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