2019年1月23日(水)

中間層を底上げ 米大統領一般教書演説、TPP早期承認求める

2016/1/13 13:30
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【ワシントン=河浪武史】オバマ米大統領は12日、任期最後の一般教書演説で、中間・貧困層の所得を底上げする格差是正策の実現を訴えた。議会には雇用対策として環太平洋経済連携協定(TPP)の早期承認を求めた。ただ、任期は残り1年となり、税制改革など骨太な経済政策は次期大統領に積み残しとなりそうだ。

2009年に就任したオバマ大統領は、直前に起きたリーマン・ショックからの経済立て直しにまず注力した。金融機関の不良資産を大胆に買い取るなどして危機は徐々に収束。米経済は09年夏に回復軌道に戻り、景気拡大期は既に6年半に達する。オバマ氏は「就任後7年で失業率は半分に下がり、今の米国経済は世界最強だ」と誇った。

ただ、成長の果実は富裕層に偏っており、米国全体に景気回復の実感が行き渡っていない。08年と14年の家計収入(米国勢調査局データ)を所得階層別に比べると、上位5%に位置する家計の収入は4%増えたが、中間層が3%減、下位10%層に至っては8%も減った。中間層や貧困層がなお所得減に苦しむ中で、オバマ氏は「資産と収入は超富裕層ばかりに集中している」と指摘した。

そのため一般教書演説では、最低賃金の引き上げで家計収入を底上げし、大学などの学費を下げて中間・貧困層の教育を後押しする格差是正策を盛り込んだ。低所得層の減税拡大を主張し、議会での審議を求めた。

12カ国で大筋合意したTPPも、中間層の底上げに直結すると主張した。農産物や工業品の輸出拡大で所得や雇用を伸ばすだけでなく、アジアの投資ルールを整備することで中小企業の海外進出を後押しできるとみるためだ。オバマ氏は2月初旬にもTPPに署名する予定で、米議会にも早期の承認を求めた。

経済政策では法人税改革も主要課題だ。米製薬大手などが節税目的で海外企業を買収して本社を海外に移すケースが後を絶たず、改革機運は高まっている。オバマ氏は演説で「海外口座を使って課税を逃れている」と企業の節税を批判した。

ただ議会多数党は野党・共和党で、任期終盤を迎えたオバマ政権の経済政策には行き詰まり感がある。富裕層課税の強化は共和党の反対が強く、実現は遠い。企業の海外移転が加速しているのは、連邦法人税率が35%と高止まりしていることが原因との指摘も根強く、共和党は税率引き下げを訴えている。

そのため税制改革など国論を二分する経済政策の実現は、11月の選挙で決する次期大統領に持ち越されそうだ。オバマ氏も一般教書演説について「この1年ではなく今後5年、10年に焦点を当てた」と強調する。大統領選では民主党のヒラリー・クリントン前国務長官らが富裕層課税の強化を訴える一方、共和党側は個人所得税・法人税の減税を主張する。オバマ氏の一般教書演説は、選挙戦の経済論戦の土台となる。

 ▼一般教書演説 米大統領が憲法の規定に基づいて、連邦議会に今後1年間の内政・外交全般にわたる施政方針を表明する演説。日本の首相の施政方針演説に相当する。主要テレビ局が生中継し、大統領が国民に政権の成果や政策を説明する演説としても注目される。今回はオバマ大統領の最後の一般教書演説となる。

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