中国、南シナ海で独自の境界線「九段線」主張
▼中国の海洋進出 中国の海洋進出は南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島に部隊をおいた1950年代に始まった。74年には同じく領有を唱えていた当時の南ベトナムを撃退して西沙諸島全域を支配した。80年代には南沙(同スプラトリー)諸島の一部も占拠。フィリピンが領有権を主張するミスチーフ礁で95年、中国海軍が建造物を造ると軍事的な緊張がさらに強まった。
南シナ海は中国にとって重要な航路で海洋資源も豊富だ。米国をにらんで安全保障の観点からも重視するようになり、経済と軍事の要衝として支配の既成事実化を進めた。「九段線」と呼ぶ独自の境界線を引き広範な主権を主張してきたが、12日の仲裁裁判所の判決で法的根拠を否定された。
中国は南シナ海で岩礁を埋め立て、飛行場などを建設する動きを2014年から加速している。米国防総省は15年末までに南沙諸島で約13平方キロメートル以上を埋め立てたと分析した。今年6月には沖縄県・尖閣諸島の接続水域を中国海軍の艦船が航行するなど、東シナ海でも挑発行動を活発化。地域の安全保障に大きな脅威となっている。