2019年2月21日(木)

インドネシア内閣改造 経済閣僚4人を入れ替え

2015/8/12付
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【ジャカルタ=渡辺禎央】インドネシアのジョコ大統領は12日、経済関連の4人を含む5閣僚の交代を発表した。2014年10月の政権発足以来、初の内閣改造で、財政・経常収支の「双子の赤字」を抱え、通貨ルピアや株価の下落が続く景気低迷の打開を図る狙い。体制刷新をアピールし、市場や国民の信頼回復を急ぐ。

今回の内閣改造で最も注目されるのが、経済閣僚の筆頭とされる経済担当調整相へのダルミン氏の就任だ。同氏は09年から当時総裁が空席だった中銀の金融政策を率いた。10年9月に総裁に就任し、13年5月に任期を満了するまで、米リーマン・ショック後の余波や、資源高を受けた経済成長、その後の成長鈍化などの浮き沈みを経験。マクロ経済や国際金融に精通している点が買われた。

ダルミン氏は12日、「中銀の古参として金融当局に人脈が広い」と自負してみせ、「ルピア安の改善で中銀との連携を高める」と述べた。

「低迷する経済や政府内の調整能力を改善するためだ」。プラティクノ国家官房長官は内閣改造の狙いをこう語る。ダルミン氏の前任のジャリル氏は、インフラ開発の計画策定などを担う国家開発企画庁長官に転じた。スライド人事の背景には「国家開発企画庁と経済省庁の足並みが合っていなかった」(プラティクノ氏)ことがある。

一方、パナソニックの現地合弁会社の創業一族として知られるゴーベル貿易相は「更迭された」と受け止められている。貿易省所管の小売りや流通の規制が経済成長の足を引っ張っていた面があるためだ。ビールの販売規制を強化したため小売店の業績が悪化、一部酒類メーカーは投資を延期した。貿易面でも最近、オーストラリアからの牛肉輸入枠を急きょ大幅に縮小した結果、価格が高騰。追加輸入に転じるなど混乱した経緯がある。

新任のレンボン氏も投資会社の社長などを務めた民間出身。貿易収支の改善や投資促進で手腕が期待される。

リザル海事担当調整相は、エネルギー・鉱物資源省や海洋・水産省を統括する。政治・治安担当調整相はジョコ大統領の側近で軍出身のパンジャイタン氏が就いた。

内閣改造を巡っては6~7月ごろから政権周辺でささやかれ始めた。ジョコ氏による言及はほとんどなかったが、同氏と会談した経済評論家は「特定の大臣への不満を語られた」と話していた。

ルピア・株安に揺れる中で経済閣僚の大幅入れ替えに踏み切ったのは、市場や国民の信任回復で躍起になっているからだ。双子の赤字を抱えて金融政策が行き詰まるほか、物価上昇などで市場と国民の双方から不安の声が強い。

4~6月の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比で4.67%。10年を基準とする現行の算出方式では最低だった。経済の減速は雇用や給与にも影響しており、7月の有力紙コンパスの世論調査で「早期の内閣改造」を「必要」とする回答が49%で「不必要」(43%)を上回った。

こうした経緯から、内閣改造は「経済改善というよりは政治的な思惑が感じられる」(シンクタンクの経済金融開発研究所)との声も聞かれる。

実際、株価のジャカルタ総合指数は12日、前日比3.1%安の4479.49で年初来安値。為替も一時1ドル=1万3800ルピアを突破し約17年ぶりのルピア安に歯止めがかからない。内閣改造への市場の反応は冷ややかだ。

ジョコ政権下の経済成長テコ入れが遅れている背景に政府予算の執行が遅れていることがある。「閣僚の交代により(省内調整などで)さらに時間を要するかもしれない」(同)との懸念もある。

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