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北朝鮮、サイバー攻撃で外銀から窃取か

制裁効果薄れる懸念

【ワシントン=永沢毅、北京=永井央紀】北朝鮮が世界各地の銀行に組織的なサイバー攻撃をしかけ、多額の現金を奪った疑いが浮上している。事実だとすれば、核・ミサイル開発の新たな資金源となりうる。米国の呼びかけで各国は北朝鮮の資金源を断つための制裁強化に乗り出しているが、サイバー攻撃による資金獲得が続けば制裁効果が薄れる懸念が強まりそうだ。

情報セキュリティーソフト大手、米シマンテックの幹部が10日、米上院の国土安全保障・政府問題委員会で証言し、「北朝鮮に拠点を持つグループがバングラデシュ中央銀行から8100万ドル(約92億円)を奪った」との認識を示した。

同幹部は北朝鮮がバングラデシュ以外でも攻撃を仕掛けているとの分析結果を提示。今年3月時点で北朝鮮のハッカーグループは31カ国で組織的にサイバー攻撃をしているとみられるという。従来のサイバー攻撃は個人によるものだったが、最近になって「北朝鮮が国ぐるみで犯行に及んでいる」とも指摘した。

各国は警戒を強めている。マレーシア中央銀行は北朝鮮への不正送金が疑われる場合、捜査当局と連携して実態を解明する方針を打ち出した。同国の金融大手、CIMBグループ・ホールディングスも北朝鮮からのサイバー攻撃を想定し、疑わしい電子メールの添付ファイルなどを開かないよう注意喚起する社内通達を出している。ただ、北朝鮮はセキュリティーの弱い発展途上国の銀行を対象とするとみられ、対策には限界もある。

米議会は核・ミサイル開発の資金源を断つため、北朝鮮の労働者を雇用する海外の企業などを新たに制裁対象に加える法案を審議している。米政府は中国や欧州、東南アジアなどの各国に北朝鮮への制裁強化を働きかけており、一部の国が応じ始めた矢先だった。

ドイツ外務省は10日、北朝鮮の在ベルリン大使館の敷地内にある宿泊施設と会議場について近く営業禁止とする方針を表明した。対象となる「シティホステル」はベルリン中心部に位置し、安い宿泊料で人気だが、運営業者が支払う賃貸料が北朝鮮に外貨として流れていた。このためドイツ外務省は国連安全保障理事会の制裁決議違反にあたると判断した。

北朝鮮の最大の貿易相手国である中国は、2月から今年いっぱい北朝鮮からの石炭輸入を停止した。2016年に約12億ドル(約1400億円)を中国に輸出した石炭は北朝鮮の主要な外貨獲得手段だっただけに、米トランプ大統領も中国の対応を評価した。ただ、北朝鮮がサイバー攻撃による資金獲得を加速させれば、こうした制裁強化の意義は薄れる。

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