2019年2月23日(土)

中ロが地中海で軍事演習 米欧けん制、日本海でも8月実施

2015/5/12付
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【モスクワ=田中孝幸】ロシアは11日から21日までの日程で、中国人民解放軍との海上合同軍事演習を初めて地中海で実施する。中ロには北大西洋条約機構(NATO)が勢力圏とする海域であえて演習を展開することで、自国周辺で続く米欧の軍事行動に異を唱える狙いがある。8月には日本海で軍事演習を予定しており、アジアで米国と安全保障面での協力を深める日本をけん制する思惑も透ける。

ロシア国防省の発表によると「海上連合」と銘打たれた軍事演習は中ロ両国から計10隻の艦船を動員する。海賊やテロなど海上交通に対する脅威に対処する能力を高めるのが主目的としており、両国海軍の副司令官が指揮する。

発表に先立ち、ロシアのショイグ国防相は10日、訪ロ中の中国軍制服組トップの范長竜中央軍事委員会副主席と会談。国営ロシア通信によると、両者は「現在の(米一極支配の)世界秩序を再構築する必要性」で一致。ショイグ氏は昨年、東シナ海で実施した共同海上軍事演習について「結果に満足している。さらに軍事技術面での協力を拡大したい」と語った。

今回の演習は2013年に他国での合同演習を始めたばかりの中国海軍にとって「遠海では大規模と呼べる内容」(中ロ外交筋)。中ロが演習に踏み切った背景には、自国が勢力圏ととらえる地域への超大国・米国の関与に異議を唱えるという共通の意図がある。

中国は自国周辺海域での米軍の活動に不満を強めている。ロシアも欧州での米国主導のミサイル防衛(MD)の配備や、旧ソ連圏への東方拡大を進めるNATOの動きに警戒感を抱いている。歴史的にも欧州が最重視する地中海での演習には「自分の裏庭で同じことをされたらどう思うか、米欧に思い知らせる」(中ロ外交筋)狙いがあった。

中国は近年、欧州連合(EU)各国への経済的な影響力を強めており、同国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)には英独仏も出資を決めた。ロシアは欧州の鼻先で中国との軍事面での蜜月をアピールし、ウクライナ問題を巡ってロシアへの経済制裁を続けるEUをけん制する戦略も描く。

中国にはロシアとの軍事面の接近を通じ、日本の安倍政権をけん制する思惑もある。中ロは次の海上合同軍事演習はあえて日本にとって第2次大戦終戦70年の節目である8月に日本海で実施すると決めた。東シナ海や南シナ海で抱える領有権争いをにらみ、中国海軍が作戦能力を高めていることを誇示する意図もある。

経済面では今回の演習によって習近平指導部が掲げる陸と海の現代版シルクロード「一帯一路」構想を側面支援し、地中海周辺国への影響力を拡大する戦略を立てている。実際、中国当局が示す同構想の陸と海のルートはいずれも地中海自体やその沿岸国を通る。

中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は同構想を推進すると「我々が権益を持つ範囲が広がっていく」との専門家の解説を載せた。地中海での演習には「我々はこの海域に不慣れなので(演習を通じ)自然条件などの情報を理解する」(同紙)という具体的な目的もあるようだ。

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