中国、激安ネット商戦は活況 11月11日は「独身の日」

【北京=小高航】中国で「独身の日」と呼ばれる11月11日、ネット上で大規模な値引き商戦が繰り広げられた。ネット通販大手のアリババ集団だけで、1日の取引額が昨年の倍の2兆円に迫る見通しだ。消費全体がなかなか上向かないなか、庶民は「安売り」に殺到する。家計を守るために安い商品を求める消費者の動きが、中国のデフレ傾向を強めている。
「1」が4つ並ぶ日付にちなんだ「独身の日」の商戦は、アリババが通販を普及する狙いで2009年から始めた。いまでは京東集団や蘇寧雲商など他のネット通販大手もこの日に安売りセールを展開しており、中国では春節(旧正月)の商戦に匹敵するイベントとして定着している。
アリババは11日午前0時に商品の値段を一斉に通常より4~5割下げた。午後11時までに取引額は約870億元(約1兆7千億円)に達し、1日で571億元だった昨年を大幅に上回った。
上海市の女性会社員、楊茵さん(33)は10日深夜からパソコンの前でスタンバイ。セールが始まると同時に洗濯用洗剤などをまとめ買いした。「セール時に買えば家計が助かる」と話す。
一方、11日午後に北京市内の大型ショッピングセンターを訪れると、人影はまばら。ネット通販が「安さ」を武器に消費者をひき付けるのとは対照的に、多くの雇用を抱える旧来型の小売業は高額商品の売れ行きが不振で苦戦している。