中独、技術協力2兆円 日米に揺さぶりの思惑も

2014/10/11付
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【北京=阿部哲也】中国が欧州各国との経済外交で攻勢をかけている。ドイツを訪問中の李克強首相は10日にメルケル独首相と会談し、自動車や航空、環境などの分野で合計181億ドル(約1兆9500億円)規模の投資・技術協力を進めることで合意した。李首相はロシアやイタリアも歴訪し、経済協力を協議する。欧州への接近により、関係改善が遅れる日本と米国に揺さぶりをかける思惑も透ける。

李首相は2013年5月、就任最初の外遊先としてインドなどとともにドイツを訪問している。今年3月には習近平国家主席も訪独した。7月にはメルケル首相が北京を訪れ、共産党・政府の要人と相次ぎ会談しており、首脳同士が頻繁に行き交うシャトル外交が目立っている。

今回の李首相の訪独には、自動車大手の北京汽車集団や上海汽車集団、鉄鋼大手の宝鋼集団など国有大手を中心に70人以上の企業幹部が随行した。李首相が自らドイツ企業の対中投資拡大や中国製品の購入拡大を促す「トップ営業」を展開し、2兆円規模の経済協力案件をまとめた。

中独首脳が合意した経済協力は約20項目に及ぶ。自動車では独フォルクスワーゲン(VW)が中国西部の新疆ウイグル自治区にある工場の拡張に1億ユーロ(約136億円)を投じる。両国政府は電気自動車(EV)など最新エコカーを共同開発し、充電システムなど基幹技術の共通化にも乗り出すことで合意した。

省エネや環境といった先端分野でも、ドイツの大手企業が最新技術を中国側に供与する。シーメンスなどの独企業が巨大需要が見込める中国に食い込む好機となり、日本企業にとって強力なライバルとなる。航空分野では欧州エアバスが中国生産を拡大し、中国の航空会社の機材調達を増やすことでも合意した。

中国がドイツとの関係強化に動くのは、ドイツが「欧州連合の盟主」として国際社会で影響力を強めているため。日本や米国からの対中投資が落ち込むなかで、ドイツから先端技術を導入する狙いもある。

ドイツでは、独株式指数(DAX)が年初来の安値圏に沈むなど、経済の先行きに不安が強まっている。中独の貿易額は13年に1616億ドルと、5年前の1.6倍に急増しており、中国との関係強化を景気浮揚につなげたい考えだ。独首脳が香港や少数民族を巡る問題について目立った中国批判を封印したのも、こうした思惑が背景にあるとみられる。

李首相は12日以降もロシア、イタリアの首脳と相次ぎ会談する。ロシアでは航空分野、イタリアでは電力などインフラ事業に関する経済協議が主要テーマとなる。17日までの訪欧中に欧州連合(EU)首脳とも中国製通信機器の調達制限などを巡って協議する見通しだ。

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