米入国制限差し止め継続、広がる評価 「政権に大打撃」

2017/2/10 20:04
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【ワシントン=平野麻理子】イスラム圏7カ国からの入国などを禁じた大統領令の復活を認めなかったサンフランシスコの連邦控訴裁判所(高裁)の決定を受け、米国内外ではおおむね評価する声が広がった。原告ワシントン州のファーガソン司法長官は「完全な勝利」と宣言。野党・民主党は「ホワイトハウスにとって大打撃になった」と指摘した。

野党・民主党の全国委員会は9日、「トランプ大統領は相変わらず判断力に欠け、大混乱を引き起こしている。高裁の決定が維持されると確信している」との声明を出した。同党のチャック・シューマー上院院内総務はツイッターで「大統領は不吉な前兆を直視し、国民を守る超党派で現実的なプランを考えるべきだ」と指摘した。

高裁の決定直後には、民主党候補としてトランプ氏と大統領の座を争ったヒラリー・クリントン氏もツイッターに「3-0」と短く投稿した。高裁の3人の判事が、全員一致で大統領令の差し止めを支持したことを意味したとみられる。

原告ワシントン州のファーガソン司法長官は記者会見を開き、「裁判所は求めていたものを全て認めてくれた」と述べた。そのうえで「米国は法治国家で、大統領にも法は適用されるということだ」と強調した。

一方、大統領上級顧問のケリーアン・コンウェイ氏は米FOXテレビの取材に「今回の決定はあくまで仮のものだ。我々は法廷で争う機会を持ち、必ず勝利する」とコメントした。

国際的な人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は「この非人道的な禁止令が何千もの家族にもたらした混乱と不安感が消えたわけではない」と、大統領令の完全撤廃を議会に求めた。

米大手メディアは、今回の決定を10日朝のトップニュースとして報じている。ワシントン・ポスト紙は「裁判所が(大統領令の)法律的な誤りを非難したことで、新政権の傲慢で薄っぺらい無能力さが浮き彫りになった」と政権を激しく批判。ニューヨーク・タイムズ紙も「大統領による弾圧に協力せず、(不法移民にサービスを提供する)聖域となる都市や街、州は増えていくだろう。彼らの抵抗は恐るべきものだ」と論じた。

一方、保守系のFOXテレビでは、番組ホスト役の男性評論家が高裁決定を「左翼的な裁判所による事前の予想通りの判断」と批判的に紹介。出演した女性評論家も「専制的な司法の暴走で、入管の問題で米国民の声は取り上げられていない」と訴えた。

米メディア以外も高裁決定を相次いで報じた。イランの国営メディアは「トランプ政権の政治的な挫折」と伝え、入国禁止令は世界的な反発を招いたと指摘した。

英国ではガーディアン紙(電子版)が「入国制限の大統領令が大きく後退」と表現。判決文をそのまま掲載して高裁の判断基準などを詳細に伝えた。BBCは「米憲政の危機か」として、トランプ氏が裁判所の判断の正統性に疑問を呈していることを取り上げた。

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