試練のFRB、市場と攻防 利上げ大幅先送りけん制

2016/2/11 1:28
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は金融資本市場の混乱で、年4回の追加利上げ路線の見直しを迫られている。株安・資源安に加えて米景気の減速懸念も持ち上がり、市場は「次の利上げは来年」と大幅な先延ばしを見込む。ただ10日に議会証言したイエレン議長は緩やかな利上げ路線を堅持する考えだ。催促相場の様相を強める市場との対話力が改めて問われる。

「追加利上げは経済データ次第だ。想定以上に成長が加速すれば利上げペースは速まり、経済が下振れすれば政策金利の道筋は減速する」

イエレン議長は議会証言でこう述べた。市場では3月の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げの是非が焦点となる。イエレン氏は3月初旬の米雇用統計など重要指標次第とかわしながらも、株安や資源安など市場の混乱が長引けば、利上げを先送りする可能性をにじませた。

ただ「引き締めが遅れれば経済の過熱を招く」とも指摘。物価上昇率が目標の2%に近づいていけば、着々と利上げを進める考えを強調した。

背景にあるのは市場の極端な利上げ先送り観測だ。先物市場から算出する3月の利上げ予測の確率はほとんどゼロに近い。次回の利上げ時期も足元では「来年以降」との見方が大勢を占める。過度な市場観測をけん制することで、イエレン氏は金融政策の自由度を保つことを優先した。

「株安などで揺れる金融市場は経済成長の支えになっていない。もっとも雇用は力強さを増し米経済成長は続くだろう」

イエレン議長の景気判断には強弱が入り交じる。2015年10~12月期の実質経済成長率は0.7%に減速。輸出額は約4年ぶりの低水準に落ち込み、製造業の景況感指数も好不況の境目である50を下回ったままだ。

一方でFRBが重視する雇用情勢は、失業率が4.9%まで下がって賃金も上昇傾向にある。ニューヨークなどでは住宅価格が過去最高水準に達し、不動産市況には過熱感もある。FRBはITバブルの崩壊からの回復過程で引き締めが遅れ、バブルを招いてリーマン・ショックにつながった苦い経験がある。

米景気は成長の持続力が問われる微妙な局面にあり、イエレン氏の景気判断も曖昧だ。12月の利上げ時には、イエレン氏らが徹底して市場に利上げ開始を織り込ませ、大きな混乱なく乗り切った。同氏の「市場との対話」は2カ月足らずで再び試練を迎えている。

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